Q:1966年1月生まれの女性です。難病を患いフルタイムでは働けず、現在週5日×6時間勤務しています。繰り上げしたら特別支給の老齢厚生年金はどうなる?
「1966年1月生まれの女性です。難病を患いフルタイムでは働けず、現在週5日×6時間勤務しています。健康に不安がありますが、体が動く限り仕事は続けながら、年金を60歳になったら繰り上げ受給しようと考えています。特別支給の老齢厚生年金の年代に該当していますが、繰り上げ受給したらその分はどうなりますか?」(すのおかんさん)
フルタイムで働けないので、年金を繰り上げしたい(画像:PIXTA)
A:1966年1月生まれの女性は、特別支給の老齢厚生年金を64歳から受け取れます。60歳で繰り上げ受給をすると、この特別支給の老齢厚生年金分も含めて「繰り上げ扱い」となり、本来の年金額の約80.8%での受給となります
まず、1966年1月生まれの「すのおかん」さんは、1966年1月生まれの女性なので、「特別支給の老齢厚生年金」を64歳から受け取れます。同じ年に生まれた男性は65歳からしか受け取れませんが、経過措置※の都合上、1年早く受け取れます。ただし、老齢基礎年金は65歳からの受給となります。※以前は老齢厚生年金を60歳から受け取れましたが、昭和60年の法改正で受給開始年齢が65歳へ段階的に引き上げられました。その移行措置として設けられたのが「特別支給の老齢厚生年金」です。
繰り上げ受給をする場合、このことが年金の受取額に影響を与えます。繰り上げ受給とは、本来の受給開始年齢より早めて受け取るかわりに、繰り上げた月数に応じて1カ月当たり0.4%ずつ年金額が減額される制度です(1962年4月2日以降生まれの人の場合)。
繰り上げ受給をするなら、特別支給の老齢厚生年金(老齢厚生年金)と老齢基礎年金は同時に繰り上げすることになります。つまり、老齢基礎年金については、5年早く受け取り、特別支給の老齢厚生年金(老齢厚生年金)については、4年早く受け取るという計算になります。
そのため、60歳から繰り上げ受給をすると、老齢基礎年金は本来受け取るべき年金額の76%(0.4%×60カ月=24%減額)の金額を一生涯受け取ることとなり、老齢厚生年金は本来受け取るべき年金額の80.8%(0.4%×48カ月=19.2%減額)の金額を一生涯受け取ることになります。
誤解されやすいのですが、「60歳で繰り上げても、64歳になれば特別支給の老齢厚生年金分が満額になる」ということはありません。
なお、「すのおかん」さんは、可能な限り働くということですので、65歳以降も働き続けるということかと思います。1日6時間で週5日働き続ける限りは、社会保険(健康保険と厚生年金のこと。ただし厚生年金は70歳になるまで)にも加入し続けることになり、「在職定時改定」という仕組みによって、66歳以降は1年分働いて増えた年金額が毎年、老齢厚生年金額に上乗せされて支給されることになります。
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