Q:1965年生まれです。特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止になります。65歳からは満額で受け取れますか?
「1965年(昭和40年)生まれです。65歳の定年まで働く予定です。給与が高く特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止になります。この場合、65歳以降は老齢厚生年金を満額で受け取れるのでしょうか? 働きながら年金をもらう説明は多いのですが、働かない場合の説明が見つからず不安です」(ミヤモトさん)
特別支給の老齢厚生年金は、支給停止となります(画像:PIXTA)
A:65歳以降に仕事を辞めれば、在職老齢年金の対象外になるため、老齢厚生年金は満額で受け取れます
ミヤモトさんは昭和40年生まれの女性と考えられます。この世代は64歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取れる世代です。しかし給与収入が高く、在職老齢年金制度によって全額支給停止になる、とのこと。60歳以降に厚生年金に加入して働くと、
①基本月額(特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分÷12)
②総報酬月額相当額(目安として月給+賞与の1/12)
この合計が支給停止調整額の51万円(2025年度)を超えた場合、老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金も)が一部または全額停止になります。これは在職老齢年金制度と呼ばれる仕組みです。2026年度には支給停止調整額が62万円になります。
ミヤモトさんは現在の給与では、この基準を超えているため特別支給の老齢厚生年金が全額支給停止となる、とのこと。
特別支給の老齢厚生年金は65歳までの制度のため、65歳になると特別支給の老齢厚生年金は受給が終了します。
65歳からは、老齢基礎年金+老齢厚生年金(本来の年金)に切り替わります。
ここでポイントとなるのが、「65歳以降も働くかどうか」です。65歳以降は働かない(=厚生年金に加入しない)場合、在職老齢年金制度の対象外になる、ということです。
つまり、給与収入がゼロになるため、老齢厚生年金は満額受給できるということになります。
ミヤモトさんが心配されている「特別支給の老齢厚生年金が全額停止」という状況は、収入が高いためほぼ確実なのでしょうが、これは64~65歳の1年間の話です。
65歳以降に働かなければ、老齢厚生年金は満額で受け取れます。
老齢基礎年金はもともと在職老齢年金の対象ではないため、65歳以降は老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに満額で受け取れます。
65歳以降の働き方によって受け取れる年金額が変わるため、退職のタイミングをふまえて年金事務所で試算してもらうと安心です。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






