年金・老後のお金クリニック

63歳で年金を受け取り始めました。収入が増えた場合、51万円超で年金はどれくらい減らされる?

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、収入が増え年金がカットされるかを心配している男性からの質問です。専門家に質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、収入が増え年金がカットされるかを心配している男性からの質問です。専門家に質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。

Q:63歳で年金を受け取り始めました。収入が増えた場合、51万円超で年金はどれくらい減らされる?

「63歳で年金を受け取り始めましたが、昇給や残業で収入が増えそうです。年金と給与の合計が51万円を超えたら、年金はどれくらい減らされますか?」(山下さん・63歳男性)
収入が上がりそう。どのぐらい年金はカットされる(画像:PIXTA)

収入が上がりそう。どのぐらい年金はカットされる(画像:PIXTA)

A:在職老齢年金の仕組みにより、年金(基本月額)と給与(総報酬月額相当額)の合計が51万円を超えた場合、超えた分の「半分」だけ年金が調整されます

63歳で受け取っている老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金を含む)を受給しながら厚生年金に加入して働くと、「在職老齢年金」の制度が適用されます。在職老齢年金とは、年金(基本月額)と給与(総報酬月額相当額)の合計が支給停止基準額を超えた場合に、老齢厚生年金の一部が調整される制度のことです。

2025年度(令和7年度)の支給停止基準額は51万円です。

■支給停止(調整)額の計算式
老齢厚生年金がどれだけ調整されるかは、次の計算式で求めます。

●基本月額と総報酬月額相当額の合計が51万円以下
→老齢厚生年金は全額支給されます

●基本月額と総報酬月額相当額の合計が51万円を超える
→支給される老齢厚生年金額は次の式で計算されます
基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-51万円)÷2

※基本月額……老齢厚生年金の報酬比例部分の月額
※総報酬月額相当額……給与+賞与の1/12

■計算例
基本月額:20万円
給与(総報酬月額相当額):40万円
→合計60万円(51万円を9万円超過)

支給される老齢厚生年金は、
20万円-(20万円+40万円-51万円)÷2
=20万円-9万円÷2
=20万円-4万5000円
=15万5000円

このように、「51万円を超えた分の半額」が調整されます。

■山下さんの場合
63歳で年金を受け取っているとのことなので、現在受給している年金は老齢基礎年金や老齢厚生年金を繰り上げ受給している可能性が高いと考えられます。繰り上げ受給した老齢年金も在職老齢年金の対象となり、年金(基本月額)と給与(総報酬月額相当額)の合計が支給停止基準額の51万円(令和7年度)を超えた場合には、年金の一部が調整されます。

給与の増加や残業により収入が増えた場合は、ご自身の基本月額(年金の報酬比例分)と総報酬月額相当額(給与+賞与割)を上記の式に当てはめれば、調整額が計算できます。

老齢基礎年金(国民年金)は、在職老齢年金制度の対象外です。給与がいくら増えても支給停止されることはありません。年金額は人によって大きく異なるため、具体的な金額を知りたい場合は年金事務所での確認がおすすめです。

※専門家に取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2025/12/31まで)を実施中です!

※抽選で20名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品や投資行動を推奨するものではありません。
投資や資産運用に関する最終的なご判断はご自身の責任において行ってください。
掲載情報の正確性・完全性については十分に配慮しておりますが、その内容を保証するものではなく、これに基づく損失・損害などについて当社は一切の責任負いません。
最新の情報や詳細については、必ず各金融機関やサービス提供者の公式情報をご確認ください。

あわせて読みたい

カテゴリー一覧

All Aboutサービス・メディア

All About公式SNS
日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
公式SNS一覧
© All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます