Yahoo!ファイナンスの「株主優待人気ランキング」の中から、日本株に詳しい金融文筆家の田代昌之さんに「特に注目したほうがいい」という銘柄を厳選・紹介いただくシリーズ、今回は11月権利確定銘柄を3つ、取り上げます。
1:串カツ田中ホールディングス<3547>
最初に紹介するのは、「串カツ田中」を展開する串カツ田中ホールディングス<3547>です。
他に「焼肉くるとん」「天のめし」「鳥玉」などのブランドも、全国にフランチャイズ展開しています。また、店舗設計を行う「ジーティーデザイン」や店舗運営ツールを提供する「リスターツ」など、事業の多角化も進めています。
同社の株主優待は、グループ会社で使える食事優待券。100株以上の保有で年に1回、所有株式数に応じた金額を電子チケット方式で受け取れます。この優待券はテイクアウトにも使用でき、キャンペーンとの併用も可能です。
続けて、今後の事業展開については次のように話します。
「12月1日付で関西地方を中心に窯焼きピッツァなど本格イタリアンを展開するピソラを95億円で買収すると発表しました。買収に伴って第三者割当増資を実施して約40億円を調達することから株式需給の悪化や1株利益の希薄化を懸念した売りが出ました。ただ、串カツ田中をメインとした事業構成に、ファミリーレストラン事業を加えることで、総合飲食店グループとしての発展を目指す積極的な変化は、ポジティブに評価できます」(田代さん)
さらに、株価については「夏以降、好調な月次動向が材料視されて急騰していましたが、増資発表を受けて上昇は一服。とはいえ、週足チャートではちょうど13週移動平均線水準まで下落しており、調整は一巡とみることもできるでしょう」と分析しています。
2:キユーピー<2809>
次に紹介するのは、マヨネーズやドレッシングを製造販売するキユーピー<2809>です。
同社のマヨネーズは国内シェアNo.1を誇り、他にジャムや栄養補助食品、育児・介護食なども手掛けています。また海外への展開も進めており、レストランやコンビニに向けた業務用商品の販売も行っています。
同社の株主優待は、自社製品の詰め合わせ。100株以上を半年以上継続保有すると、年に1回受け取れます。なお、500株以上の保有や、3年以上の継続保有で、自社製品詰め合わせの内容がグレードアップします。
そんな同社の優待制度を利用したAll Aboutの読者からは、「キユーピー製品だけでなく、アヲハタのジャムももらえたり、保有年数が3年以上でもらえる品数が増えたりするところが気に入っています」(53歳・兵庫県)といったコメントをいただきました。

田代さんは、同社の業績動向について次のように語ってくれました。
「国内事業はコスト増に悩まされているものの、タマゴやカット野菜の販売数量の増加と価格改定の効果で増収となりました。海外事業もアジア太平洋地域が好調に推移し、販売拡大によって増益を確保しています。営業利益は第1四半期こそ苦戦しましたが、第2四半期でリカバリーし、第3四半期も着実に数字を伸ばしました」
続けて、株価動向については次のように述べています。
「7月には、連結子会社でジャム大手のアヲハタを完全子会社化すると発表しました。株式市場ではこれをガバナンス改革の一環として評価する動きが広がり、株価は8月に上場来高値を更新しました。ただその後は、鳥インフルエンザや猛暑の影響で鶏卵価格が高騰し、業績への懸念が株価の重しとなりました。とはいえ、10月2日に発表された2025年11月期第3四半期決算では、通期売上高予想をやや上方修正。これにより、利益予想の下方修正懸念が払拭(ふっしょく)されたことで、株価にはポジティブな反応が期待できると見ています」
さらに、今後の見通しについても次のようにコメントしています。
「四半期ごとの営業利益は、第1四半期が58億円、第2四半期が104億円、第3四半期が108億円と堅調です。足元の成長ペースを踏まえると、通期業績予想の上方修正余地も十分にあると考えています」
3:ニイタカ<4465>
最後に紹介するのは、業務用洗剤や固形燃料を製造販売するニイタカ<4465>です。界面活性剤の製造から始まった同社は、現在、業務用洗剤、洗浄剤、除菌剤、漂白剤など、プロのニーズに応えた製品を幅広く提供しています。また傘下には、大阪・関西万博に薬用ハンドソープを供給した「ミッケル化学」などがあります。
同社の優待は、保有株式数に応じて内容が異なります。100株以上の保有者は、全国約3万5,000店の飲食店で利用可能な「ジェフグルメカード」500円相当を年2回。1,000株以上の保有者は、「日本旅行ギフト旅行券」5,000円相当が年1回と、「ジェフグルメカード」5,000円あるいは「自社グループ製品詰め合わせ」のどちらかを年1回受け取れます。
同社の株を1,000株以上、20年にわたり保有しているAll Aboutの読者からは「旅行券がもらえるので助かっています。割引を使って国内旅行を楽しんでいます」(男性・61歳・大阪府)と言った声も寄せられています。
続けて、業績の動向については次のように説明しています。
「原材料価格の高止まりが続く中でも、売上の増加が利益を下支えしました。その結果、2025年6~8月期の営業利益は前年同期比37%増と、大幅な増収増益で着地しています。通期営業利益予想17.0億円に対し、第1四半期時点での進捗率は34%と高水準で、通期業績予想の上方修正への期待が高い状況です」
さらに、株価については「現在のPER(株価収益率)は13倍台、PBR(株価純資産倍率)は1.0倍を下回る水準で、足元の株価には割安感が強いといえます。12月末に予定されている第2四半期決算発表のタイミングで、もし通期業績予想の上方修正が示されれば、株価は上場来高値6,720円をつけた2020年以来の大きな盛り上がりを見せる可能性もありそうです」と語ってくれました。
田代昌之(金融文筆家)
新光証券(現みずほ証券)やシティバンクなどを経て金融情報会社に入社。アナリスト業務やコンプライアンス業務、グループの暗号資産交換業者や証券会社の取締役に従事し、2024年よりフリー。ラジオNIKKEIでパーソナリティを務めている。
※株主優待に関する情報は、記事執筆時点のものになります。詳細につきましては、各社が発表している株主優待内容をご確認ください。
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