Q:北海道に住む67歳の男性です。年金だけでは生活するのには足りないのでアルバイトをしたい。年金が減らない年収の目安は?
「北海道に住む67歳の男性です。年金だけでは生活するのには足りないのでアルバイトを考えています。年金を減らさずに働ける年収の目安を教えてください」(マコトさん)
年金を減らされずにアルバイトできる収入の目安は?(画像:PIXTA)
A:厚生年金に加入して働く場合は、老齢厚生年金と給与を合わせた年間収入が約610万円を超えると年金の一部が減額されます(令和7年度)。厚生年金に加入しない働き方であれば年収の制限はありません
在職老齢年金とは、働いて給与を得ながら厚生年金にも加入している人が対象となる制度です。60歳以降も厚生年金に加入して働くと、次の条件で年金の一部または全額が支給停止になります。基本月額(老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額÷12)+総報酬月額相当額(給与+直近1年の賞与を12で割った額)→この合計が51万円(令和7年度)を超えると減額対象
例えば、老齢厚生年金が月12万円、給与が月40万円の場合、合計は52万円。このとき、超えた分に応じて老齢厚生年金の一部が支給停止になります。
この「月51万円」は年収に換算するとおよそ612万円です。つまり、年金と給与を合わせた年間収入が約610万円を超えると、老齢厚生年金が減額される可能性があるという目安になります。
法改正により、令和8年度からはこの基準額が51万円から62万円に引き上げられる予定です。これにより、同じ収入でも減額の対象になる人が減り、働きやすくなる見込みです。
老齢厚生年金が減額されるのは、あくまで「厚生年金に加入して働く場合」です。
したがって、厚生年金に加入しないパートやアルバイトであれば、収入がいくらあっても老齢厚生年金は減らされません。また、老齢基礎年金(国民年金の部分)は在職老齢年金の対象外のため、働いても減額されることはありません。
パート・アルバイトでも、勤務先が厚生年金適用事業所で、一定の条件を満たすと厚生年金に加入することになります。目安として、常時雇用されている従業員の所定労働時間の4分の3以上働く場合は加入が必要です。
さらに、令和6年10月以降は、被保険者数が50人を超える事業所で、週20時間以上・月額賃金8万8000円以上などの条件を満たすパート・アルバイトも、社会保険(厚生年金・健康保険)に加入しなければなりません。被保険者数が50人以下の事業所でも、労使が合意すれば同じ条件で加入できます。
2025年5月16日に「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が国会に提出され、2025年6月13日に成立しました。この改正により、賃金月額8万8000円以上という加入要件は撤廃されます。公布日から3年以内に施行される予定のため、遅くとも2028年までには実施される見込みです。今後は、より多くの短時間勤務者が社会保険に加入することになります。
<参考>年金制度改正法が成立しました 厚生労働省
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






