Q:63歳で退職し、老齢厚生年金を繰り上げで受け取り始めました。生活の足しに週4日ほどスーパーで働こうと思っていますが、いくらまでの収入なら年金が減らされずにすみますか?
「63歳で退職し、老齢厚生年金を繰り上げで受け取り始めました。生活の足しに週4日ほどスーパーで働こうと思っていますが、いくらまでの収入なら年金が減らされずにすみますか?」(田中さん・63歳男性・元メーカー勤務)
スーパーでアルバイトをする予定。年金をカットされない収入とは?(画像:PIXTA)
A:厚生年金に加入して働くかどうかで、老齢厚生年金が減るかどうかが変わります。厚生年金に加入して働いても、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が51万円(2026年4月以降は62万円)を超えなければ、老齢厚生年金は支給停止されません
60歳以上で老齢厚生年金を受け取りながら、厚生年金に加入して働くと、「在職老齢年金制度」の仕組みにより、年金が一部または全額停止されることがあります。質問者の田中さんのように、繰り上げ受給した老齢厚生年金にも影響します。在職老齢年金制度の計算式は次のとおりです。
基本月額(おおむね老齢厚生年金の報酬比例部分の月額)+総報酬月額相当額(月給+直近1年の賞与÷12)
この合計が51万円(2025年度の支給停止基準額)を超えると、老齢厚生年金が支給停止となります。法改正により、2026年4月以降は基準額が62万円に引き上げられる予定です。
■パート勤務と社会保険加入の基準とは?
従業員数が51人以上の企業のスーパーで週4日ほど働く場合、以下の条件を全て満たすと社会保険(厚生年金・健康保険)に加入することになります。
- 1週間の労働時間が20時間以上
- 雇用期間が2カ月を超える見込みがある
- 月額賃金が8万8000円以上(年収約106万円以上)
- 学生でない
- 従業員数が51人以上の企業に勤めている
改正後は次の条件を満たせば、月収が8万8000円未満でも社会保険加入となります。
- 1週間の労働時間が20時間以上
- 雇用期間が2カ月を超える見込みがある
- 学生でない
- 従業員数が51人以上の企業に勤務
従業員数が50人以下の事業所でも、労使の合意があれば、
- 週の労働時間が20時間以上
- 雇用期間が2カ月を超える見込み
- 月額賃金8万8000円以上
一方で、質問者の田中さんが社会保険に加入しない働き方(例えば短期アルバイトや週の労働時間が20時間未満など)を選ぶ場合、いくら働いても老齢厚生年金は減額されません。
また、田中さんは、老齢厚生年金と同時に老齢基礎年金も繰り上げ受給をしていると思いますが、老齢基礎年金は在職老齢年金の対象外のため、在職老齢年金制度による減額はありません。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






