読者からの質問に答える桐谷さん(画像:YouTubeチャンネル『All Aboutマネー』から抜粋)
Q. 桐谷さんは元気なうちに、お金を使い切りたいと思いますか?
「『DIE WITH ZERO』という本がありますが、桐谷さんはどのようにお考えですか。私は、生きていて健康なうちに、なるべくお金を使おうと海外旅行や国内旅行に行っています」(ああちゃん/60代/女性)A. 「優待を使って人生を豊かにすることは考えますが、お金を使うことはあまり考えていないですね」(桐谷さん)
私はかつて、値上がりを狙った投資で大きな失敗をしました。リーマンショックの頃、3億円ほどあった資産を30億円にしようと、評論家の言葉を信じて信用取引でどんどん投資を進めたんです。ところが「100年に一度」といわれる経済危機で株価が大暴落し、3億円が5000万円を切るまで減ってしまいました。その時は「もう老後はどうしよう……」と本気で思いましたね。そのピンチを救ってくれたのが「株主優待」でした。当時、400社ほどの優待銘柄を持っていたんです。以前、雑誌のインタビューで、優待株を100社保有していると紹介されたことがありましてね。その記事を見て「自分はお金持ちで日本一にはなれなくても、優待株で日本一にはなれるかも」と思い、どんどん買い増ししていきました。
株価が大暴落して大損しましたが、全国の企業からお米や缶詰、食事券、クオカードなどが次々届き、それが本当に心の支えになりました。株主優待という、日本ならではの素晴らしい制度に救われたのです。
今は、この優待制度のよさを多くの人に伝えるのが自分の使命だと思っています。余裕資金のある人には、ぜひ優待のある株に投資して、その優待を活用することで人生を豊かにしてほしい――そう思って活動しています。
こうして宣伝を続けていると、YouTubeに出演したり、講演の依頼を受けたりして、また収入が増えていくんですね。
使うというよりも「優待制度の素晴らしさを伝えること」が目的なので、お金自体にはあまり執着していません。配当金も使わないので、通帳を見ても残高が減らず、むしろ少しずつ増えているくらいです。
よく似た質問で「いつまで優待を続けるんですか?」と聞かれることもありますが、私の答えは決まっています。
――「自転車に乗れなくなるまで」。
父が90歳の時にけがで自転車に乗れなくなったので、私もそれくらいまでは“終活”をせず、楽しみながら優待生活を続けていきたいと思っています。
【関連動画】桐谷さんが出演する動画はこちら! 併せてご覧ください。
教えてくれたのは……桐谷広人さん
1949年広島県出身。将棋棋士・投資家。日本テレビ系バラエティ番組『月曜から夜ふかし』に出演し、現金を使わない「株主優待生活」が話題になった。現在はテレビや講演会、雑誌などで幅広く活躍。『日経マネー』(日経BPマーケティング)、『ダイヤモンドZAi(ザイ)』(ダイヤモンド社)で連載中。






