今回はAll About編集部が実施した節約に関するアンケートから、45歳男性の失敗談を紹介しながら、意外と知らない“節約の落とし穴”と対策について、ファイナンシャルプランナーでAll About 家計簿・家計管理ガイドの二宮清子さんが解説します。
回答者のプロフィール
回答者本人:45歳男性家族構成:独身(子なし)
雇用形態:正社員
職業:専門商社の営業職
年収:1000万円
現在の年収や暮らしに満足しているか:満足していない
「最初の節約分よりコストが増えてしまった」
男性は「光熱費」の節約で失敗したと言います。「2023年の冬に自宅のリビングで光熱費を節約しようと思い、リビングの電球を安価なLEDに交換しました。冬の電気代が前年より高くなっていることに気づき、『少しでも光熱費を抑えたい』と思ったのがきっかけです」
具体的には、リビングの電球を長寿命・省エネの安価なLEDに変えて、年間の電気代が節約しようと考えたそうです。しかし、想定外の結果に……。
「明るさが足りず、夜に読書や作業をする際に目が疲れやすくなってしまった。結果的に目の疲れを防ぐために追加でデスクライトを購入することになり、最初の節約分よりコストが増えてしまった」
失敗から学んだ大事なこと
男性は光熱費のほかにも、よかれと思って食費を節約してみたものの、当初はあまりうまくいかなかったそうです。「日常生活で『食費を節約しよう』と、安価なまとめ買いの食材だけで1週間の食事を計画したが、消費期限切れの品が多数出た」
まとめて買った後、食べ切れずに残してしまったり、食べ時を逃して腐らせたりしてしまった経験がある人は少なくないのではないでしょうか。
男性はこの失敗から、「消費量を正確に把握してからまとめ買いすること。品質と賞味期限の確認。長期保存できるものと短期消費品を分ける」という教訓を得たとコメントしています。
“もったいない節約”の典型
この男性のように、実はかけたコストよりも得られるリターンが少なくなってしまうことは、少なくありません。節約時の注意点などについて、二宮清子さんにお聞きしました。二宮:この男性のエピソードは、「節約=安いものを選ぶ」という思い込みが生んだ典型的な“もったいない節約”の例だと感じます。LED電球のように、価格だけで判断すると結果的にコストが増えてしまうことはよくあります。節約は“支出を減らすこと”ではなく、“支出の質を高めること”。つまり、「安く買う」よりも「ムダなく使う」意識が大切です。
例えば、電球と同じように、実はリターンが少ないのが“低価格が売りの家電や日用品”。耐久性が低いためすぐに買い替えが必要になることも多く、結局高くつきがちです。また、格安スマホや保険の切り替えも、サービスや保証内容を十分に比較しないまま契約すると、「思ったより不便」「必要な保証がない」といった落とし穴があります。
賢い節約の第一歩は、“比較・検証”を怠らないこと。購入前に「どのくらいの期間使えるか」「修理や交換コストはどうか」確認し、長期的に得をする選択を意識しましょう。また、固定費の見直しや、使い切れる範囲でのまとめ買いなど、“生活の質を落とさずにムダを減らす工夫”が理想的。節約は短期戦ではなく、続けてこそ成果が出る「家計の習慣化」なのです。
【二宮清子プロフィール】
ファイナンシャルプランナー。家計管理や節約を軸に、生活に寄り添った提案を行うファイナンシャル・プランナー。家庭科の教師としての勤務経験があり、赤字家計を脱出した自分の体験から、ユーザー目線でのアイデアを発信している。All About 家計簿・家計管理ガイド。
<調査概要>
節約の体験談に関するアンケート
調査方法:インターネットアンケート
調査実施日:2025年8月28日
調査対象:全国20~60代の200人(男性:63人、女性:137人)
※回答者のコメントは原文のまま記載しています。
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