平均給与は478万円、男女差は約250万円
給与所得者(※1)全体の平均給与は478万円で、前年より3.9%増加しました。男女別に見ると、男性が587万円、女性は333万円となり、男女で約250万円の差が生じています。年齢別に見ると(調査結果の第14図を参照)、20代前半では男性295万円、女性258万円と差は小さいものの、30代以降は次第に差が広がっていきます。背景には、出産や育児を機に女性のキャリアが中断したり、非正規雇用に移ったりするケースが多いことも影響しているとみられます。 ただし、この調査は同じ人を追跡したものではなく、年代ごとの平均を切り取ったデータです。近年は最低賃金の引き上げや賃上げが広がっており、若年層の高い給与水準はその影響を受けている可能性もあります。
この世代が年齢を重ねていけば、将来的に30代や40代の平均給与も底上げされ、全体の水準が一段高まっていくことが期待されます。
正社員比率の違いが格差に直結
また、給与所得者数は全体で5137万人、このうち男性は2925万人、女性は2212万人でした。一方で、正社員比率を見ると男性は全体の75%(2208万人)、女性は全体の55%(1222万人)にとどまっており、この差が給与水準にも直結しているようです。給与総額は186兆9356億円で、男性が134兆円、女性が52兆円と、およそ4対1の構図です。女性の給与総額は前年比8.3%増と伸び率は大きいものの、依然として男性との差は大きく開いています。
女性の約半数は年収「300万円以下」
国税庁の調査では給与を100万円ごとに階級分けしていますが、編集部で独自に5つの階層に分けて分布を集計したところ、女性の給与は約半数(50.5%)が「300万円以下」に集中していました。これに対して男性で最も多い層は「500万超800万円以下」(32.6%)でした。(※2) 「300万超500万円以下」は、男性31.2%、女性31.8%とほぼ同水準ですが、それ以上の層に進むと男女差が大きく開きます。高所得層をみると、「1000万円超」は男性9.7%に対し、女性は1.6%。男性の平均給与が女性より高くなる背景には、500万円を超える給与所得者層の厚みや一部の高所得者層の存在が影響しているといえそうです。
今回の調査では、女性の平均給与が前年比5.5%増と男性の伸び率(3.2%増)を上回っており、格差が徐々に縮まる傾向も見受けられます。ただし、正社員比率の差や低所得層の集中など構造的な要因は依然として根強く、課題は残されています。
※1:1年を通じて勤務した給与所得者が対象
※2:調査本来の区分では女性は「200万円超300万円以下」が最多(19.0%)、男性は「400万円超500万円以下」が最多(16.9%)
参考:民間給与実態統計調査(令和6年分)国税庁