業種で大きく違う平均給与
給与所得者(※)全体の平均給与は478万円で、最も高かったのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の832万円でした。続いて金融・保険業が702万円、情報通信業が660万円となり、インフラや専門スキルを要する業種が上位に並びました。一方で「宿泊・飲食サービス業」は279万円にとどまり、平均を大きく下回っています。建設業や製造業は570万円前後、不動産業は495万円、医療・福祉は429万円と、全体の中では中堅からやや低めの水準に位置しています。
※:1年を通じて勤務した給与所得者
賞与の厚みが業種格差を拡大
業種ごとの給与差は、基本給だけでなく「賞与」の水準も大きく影響しています。業種別の平均給与を見てみると(調査結果の第13図を参照)、例えば電気・ガス・水道業は基本給659万円に加えて賞与が173万円あり、給与全体を押し上げています。金融・保険業も同じく賞与が厚く、平均給与の高さにつながっています。 一方で宿泊・飲食サービス業は、基本給自体が低いだけでなく、賞与も30万円に満たない水準で、総額が低い理由の1つとなっています。アルバイトや非正規雇用の割合が高いことも、平均水準を押し下げていると考えられます。
業種ごとに広がる格差の背景
今回の調査結果は、業種による平均給与の大きな格差をあらためて浮き彫りにしました。とりわけ宿泊・飲食サービス業のように人手が多く必要とされ、非正規雇用の割合も高い業種では、基本給や賞与の水準が低く、全体平均を大きく下回っています。こうした給与格差は、景気の波による一時的な好不調だけでは説明できません。産業構造や求められるスキル、雇用形態の違いなど、複数の要因が重なっていることが背景にあるといえそうです。
参考:民間給与実態統計調査(令和6年分)国税庁