逆に最も少なかったのは東京都(47位)。次いで神奈川県(46位)、大阪府(45位)です。ちなみに、1~2位の2県と、45位以下の3都府県は令和に入ってから不動の順位。3位の島根県も、昨年から佐賀県(4位)と入れ替わってベスト3に入っているので、上位及び下位の顔ぶれはここ最近ほぼ変わっていないと言えるでしょう。
日常生活に不可欠な「足」となっている
このデータから見えることは、やはり地方では、45位以下の3都府県と比べて公共交通機関が不十分なため、買い物や通勤、通院など日常生活に車は不可欠な「足」となっていることです。また地方のほうが駐車場を安く借りられますし、戸建住宅の場合は敷地が広いので複数台置きやすいという事情もあります。
そうなると、維持費が安くて小回りの利く軽自動車は、一家に複数台を所有する際のセカンドカーとしても重宝されやすくなります。
筆者は親の世話をするため、数年前に東京から新潟県(8位)の某村へ引っ越しましたが、車の必要性を身に染みて感じています。最寄りのコンビニへは歩いて30分以上かかりますから、コンビニエンス=便利、という意味がちょっと薄れています。ちなみに村内にスーパーはありません。民間のバスはもう何年も前に廃止されていて、今は自治体が運営するバスが1日5往復あるだけです。
だからといって、JRの最寄り駅には40分かかります。着いたとて、電車は1時間に1本。20時過ぎには最終電車が出発します。時刻表も調べずに徒歩5分の最寄り駅へ行っていた東京での生活が懐かしい……。
ちなみに、筆者の小さな家でも車は2台置けます(しかもわが村は車庫証明不要です)。こうした状況下で、地方で暮らす人間にとって、軽自動車はかなり魅力的な「足」です。
最近の軽自動車は性能向上が著しい
そのうえ、最近の軽自動車の性能向上は著しいものがあります。特に安全性能。例えばホンダ N-BOXがHonda SENSING(ホンダセンシング)を標準装備(装備しないことも選択できた)したのは2017年(令和元年)9月に販売された2代目モデルから。当時はまだ普通車でも、一部の車種やグレードはオプション設定だった頃でしたから、その発表が衝撃的だったのを覚えています。ちなみに2021年11月以降に販売された新車(国産車)には衝突被害軽減ブレーキの標準装備が義務化されています。
さらに注目しているのが、電気で走る軽自動車です。日本では普及が進んでいない電気自動車ですが、日産 サクラ&三菱 eKクロス EVが2022年5月から販売され、今年9月にはホンダから新型の軽サイズ電気自動車N-ONE e:も発売されました。
とはいえ販売台数は、軽自動車トップのホンダN-BOXと比べたらまだ微々たるものです。しかし、なんといっても電気のみで走れます。
先ほど述べたように、地方では車がないと生活できません。ところが、現在ガソリンスタンドはピーク時の1994年と比べて半数以下にまで減少しているのです。その理由は、車の燃費向上による来店回数の減少や、若者の車離れ、また地方の小規模店では後継車不足や経営難などいろいろ。
ともかくガソリンスタンドが減ると、地方ではガソリンを入れるのに「出かける」必要があります。特に人口密度の低い、それこそ長野県にあるような地方の山間部ほど、今後ますます深刻な問題になるでしょう。地域によっては、ガソリンを入れるために片道30km以上走らなければならないことも。すでに対応策として、自らガソリンスタンドを運営している自治体さえあるほどです。
しかし、電気自動車なら自宅で充電できます。
自動運転技術とも相性がいい
新潟県で現在電気自動車のホンダ eに乗っている筆者としては、冬はエアコンだけでは寒いので膝掛けが必須ですし、春や秋と比べて冬は恐ろしく電費が悪いことを実感しているので、今のところは軽自動車推しです。できれば遠出用に一台と普段乗りの軽自動車という2台体制が理想。それでも、ガソリンスタンドまで何十kmも走るようになったら、やっぱり電気自動車でしょうね。
それに、ガソリン車と比べて、極めて緻密な車両制御と迅速な反応が可能な電気自動車は、今後普及が見込まれる自動運転技術とも相性がいいんです。
車がないとスーパーにも病院にも行けない地方在住者にとって、免許返納はなかなか高いハードルです。自動運転の軽電気自動車が、今後の地方在住者を支えてくれるのか? あるいは、わが村が実験しているような自動運転の電気バスが普及するのか? 筆者が免許を返納する時期までに、自動運転が今以上に進んでくれているといいのですが。
ともかく、今のところ軽自動車は地方で暮らす際に欠かせない乗り物と言えるでしょう。
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