年金・老後のお金クリニック

50代の男性。60歳以降も、同じ会社で働き続けると「高年齢雇用継続給付」をもらえますか?

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、高年齢雇用継続給付についてです。専門家に質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、高年齢雇用継続給付についてです。専門家に質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。

Q:50代の男性。60歳以降も、同じ会社で働き続けると「高年齢雇用継続給付」をもらえますか?

「私は50代の男性。会社員として働いてきました。60歳以降も、同じ会社で働き続けると『高年齢雇用継続給付』というものがもらえると聞いたのですが、私ももらえるのでしょうか? 月収は半分ぐらいになるそうです」(50代・匿名希望)
同じ会社で働き続けると高年齢雇用継続給付がもらえる?(画像:PIXTA)

同じ会社で働き続けると高年齢雇用継続給付がもらえる?(画像:PIXTA)

A:相談者は「高年齢雇用継続基本給付金」の対象になります

高年齢雇用継続給付には、「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」があります。相談者のケースのように、60歳以降も同じ会社で働き続ける場合には「高年齢雇用継続基本給付金」の対象となります。

この給付金は、60歳以上65歳未満で、雇用保険の加入期間が5年以上あり、かつ雇用保険の基本手当(失業給付)を受け取っていない人が対象です。原則として、60歳時点の給与と比べて、60歳以降の給与が75%未満に低下した場合に支給されます。

支給を受けられるのは、60歳に到達した月から65歳に達する月まで。ただし、各月の初日から末日まで、雇用保険に引き続き加入している必要があります。なお「60歳到達日」とは、誕生日の前日を指します。例えば10月12日が誕生日の場合、到達日は10月11日となります。

令和7年4月以降は、制度の一部が改正され、60歳以降の給与が60歳時点の64%以下に下がったとき、実際に支払われた賃金額の最大10%が支給される仕組みに変わります。詳しくは厚生労働省の案内で確認できます。

では実際に、60歳到達時の賃金月額が30万円だった場合の支給額を見てみましょう。

■支給額のシミュレーション例
60歳到達時の賃金月額が30万円だった場合の支給例です。

賃金26万円まで低下→30万円の75%未満に低下していないため、支給なし

賃金20万円まで低下(低下率66.7%)→給付額:1万4880円が支給される

賃金18万円まで低下(低下率60%)→給付額:1万8000円が支給される

厚生年金保険の被保険者で、特別支給の老齢厚生年金などの65歳になるまでの老齢年金を受けている人が高年齢雇用継続基本給付金を受けるときは、在職老齢年金制度による老齢厚生年金の支給停止に加えて、年金の一部が支給停止されることがあります。

相談者の方は50代の男性ですので、特別支給の老齢厚生年金は受け取れない世代です。なお、60代前半で、老齢年金を繰上げ受給した場合には、高年齢雇用継続基本給付金と年金との併給調整が行われ、老齢厚生年金が支給停止となる点に注意が必要です。年金と同時に受け取る場合は、あらかじめ併給調整についても確認しておくと安心です。

※専門家に取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
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