その行動、実は逆効果です。夫の心を取り戻したいのであれば、「責める妻」ではなく「理解しようとする妻」になることが、夫婦再生への大きな一歩となります。今回は、不倫相手に未練を残し続けている夫に対して、妻としてどう向き合うべきかを具体的に解説します。
<目次>
「いい加減、彼女のことは忘れて」と責めるのは逆効果
夫が不倫相手を忘れられないと、妻が動揺するのは当然のこと。「まだあの人が好きなの?」「私じゃダメなの?」と問い詰めたくなるのも自然な感情です。けれども「いつまで引きずっているの?」「早く忘れてよ」と責める言葉は、夫にとって大きなプレッシャーになります。その結果、妻との距離をさらに広げてしまうことになりかねません。
不倫や浮気は「日常」ではなく、多くの場合「刺激」や「現実逃避」が目的です。必ずしも「本気の愛」とは限りません。それにもかかわらず妻が責め立てると、夫はかえって心を閉ざし、防衛本能から妻への罪悪感を打ち消そうとします。
「責める妻」から、夫の心はますます遠ざかるのです。
事実だけを見つめ、感情は切り離して考える
では、夫の心がここにないような態度に、妻はどう向き合えばよいのでしょうか。苦しくならないためのヒントは、「感情を一度切り離して、事実だけを見ること」です。「まだ夫の気持ちが揺れていることもあるのね」と、自分の感情を挟まず、現実だけに目を向けてみましょう。これは「許す」ことでも、妥協することでもなく、ただ「今はそういう状況なんだ」と受け止めるだけです。
「夫を責める」あるいは「自分を責める」ではなく、冷静に現実を把握する。これが妻自身の心を守るための第一歩となります。
「理解しようとする妻」が夫の心を取り戻す
そのうえで、妻にできることがあります。それは、「夫は相手のどんな部分に惹かれたのだろう?」と考えてみることです。例えば、「一緒にいると癒されたのかもしれない」「『ありがとう』と感謝の気持ちをきちんと言葉にしてくれたのかもしれない」「外見に気を配っていたのかもしれない」といったように、夫の気持ちを想像してみましょう。
もちろん、必要以上に相手を掘り下げたり、自分を追い込んだりする必要はありません。ただ、夫がどんなことを求めていたのかを探る姿勢を持つだけで、「責める妻」から「理解しようとする妻」へと変わることができます。
妻が「小さな変化」を起こすことがカギ
「理解しようとする」姿勢に加えて、もう1つ大切なのは、妻自身が少しでも変化を見せることです。夫は、妻の健気な努力と自分の罪悪感が重なった時、「やっぱり妻のもとに戻ろう」と心を動かされるのです。具体的には「家では笑顔を増やそう」「『ありがとう』『おつかれさま』と声をかけよう」「今より少しだけでも家でのファッションやメイクに気を配ろう」といった小さな変化は大きな力になります。変わらないままの妻でいると、夫は「やっぱりあちらの方がよかったな」と不倫相手に未練を持ち続けてしまうかもしれません。反対に、少しでも変化を見せようと努力する妻には「新しい魅力」が生まれ、夫の心を引き戻すことができるのです。実際、健気に努力する妻を見て、夫が心を動かされる場面を私は数多く目にしてきました。
それでも夫の気持ちが妻に戻ってこない時は?
妻が努力をしても、なお夫の心が揺れている場合もあります。その時、妻はどうすべきでしょうか。私がいつもお伝えしているのは、「自分の心を守るために、『私はこの夫婦関係にしがみつかなくても生きていける』という立ち位置を持つこと」です。夫に依存しきらず、自立して生きる強さを持つこと。
これは離婚だけを意味するのではありません。むしろ、精神的に自立できると自己肯定感が高まり、「夫がいなくても私は幸せになれる」と確信できるようになります。その余裕こそが、逆に夫を引き寄せることも少なくありません。
夫が不倫相手を忘れられない時、妻にできることは「責める」ことではありません。事実だけを冷静に受け止め、夫が何を求めていたのかを理解しようと努めること。そして、小さな変化を自分の中で起こしていくことです。その姿は、夫にとって強い魅力として映ります。
そうすることで最終的には、「私はひとりでも幸せになれる」という自立した強さを持てるようになるはずです。夫を取り戻すことよりも、自分自身を取り戻すこと。そこからが夫婦生活の新たなスタートです。