Yahoo!ファイナンスの「株主優待人気ランキング」の中から、日本株に詳しい金融文筆家の田代昌之さんに「特に注目したほうがいい」という銘柄を厳選・紹介いただくシリーズ、今回は9月権利確定銘柄を5つ、取り上げます。
1: ヤマダホールディングス<9831>
最初に紹介するのは、全国に家電量販店の「ヤマダデンキ」を傘下に置くヤマダホールディングス<9831>です。「くらしまるごと」をビジネスモデルに、家電製品だけでなく、家具やインテリア、住宅、リフォームなど、暮らしに関わる事業を展開。薬のキムラヤや大塚家具も傘下におさめています。
同社の優待は買物優待券(1枚500円)。100株以上の保有で、所有株数に応じた優待券を受け取れ、ヤマダデンキと大塚家具で利用が可能です。ただし、ヤマダウェブコムなどのオンラインショップでは使えません。 ヤマダホールディングスの優待制度を利用したAll Aboutの読者からは次のようなコメントをもらっています(一部抜粋)。
「家の近所に店舗があります。業績もいいし、自社商品の商品券(1枚が500円、1,000株を購入しています)を10枚もらっております。電子レンジの買い換えで購入の際に使用して、役立ちました」(男性・68歳・千葉県)
「魅力は優待を年に2回もらえるところ。買うものを自分で選べるところ。大型のヤマダデンキには生活用品も売っているので、その時必要なものが買えるため、無駄にならない。ちょうどお湯沸かし器が壊れた時に、優待券を使って3,000円引きになると思えば、ちょっとお高めのお湯沸かし器も選ぶことができた。優待には税金がかからないのでまるっと使いきれてとてもお得だなと思いました。買い物金額の半額までしか使えない(1,000円以上購入しなければ、500円券を使うことができない)など、ルールには戸惑いましたが、慣れました」(女性・38歳・東京都)
田代さんは、ヤマダホールディングスの業績について「量販店のヤマダデンキでは、10万円のドラム式洗濯機や5万円のエアコンなど、プライベートブランド商品の投入によって粗利益率が向上したほか、M&Aの結果、注文住宅事業も拡大しており、2026年3月期は増収増益が見込まれています」としています。
また株価については、「ここ3年ほど400円から500円手前の狭いレンジで推移していますが、猛暑による夏物家電の売上増などの思惑を追い風に年初来高値を更新しています。2022年以来となる500円台も期待できるでしょう。仮に500円台回復とならなくても、優待狙いであれば、400円台前半でコツコツ拾うという戦略でも大丈夫かと思います」と教えてくださいました。
2:商船三井<9104>
次に紹介するのは、海上輸送を中心に物流サービスを提供する商船三井<9104>です。自動車輸送のパイオニアであり、鉄鉱石、石炭、原油、液化天然ガス、小麦、とうもろこしなど多種多様な貨物を輸送しています。コンテナ船事業では日本郵船や川崎汽船のコンテナ船事業を統合し、世界6位(2023年12月末時点)に位置しています。
同社の優待は、100株以上の所有でクルーズ優待券(割引券)が年2回、フェリーサービス優待券(割引券)が年1回受け取れます。また、300株以上を2年以上継続して保有していれば、各地の名産品など(3,000円相当)がもらえるオリジナルカタログが送られてきます。 商船三井の優待制度を利用したAll Aboutの読者からは「高配当でかつ優待券もくれるのはお得でした。普段フェリーで旅行する機会がなかったので特別な経験ができました」(男性・47歳・東京都)といった感想を寄せられています。
そんな商船三井について、田代さんは「不透明な米関税方針による世界経済の鈍化懸念も和らいだことで株価は落ち着きを取り戻している」と言います。また、「8月1日に2026年3月期の連結純利益が前期比53%減の2,000億円になりそうだと発表しました。自動車の輸送需要が底堅く推移するとの見通しから、従来予想していた前期比60%減の1,700億円からは減益幅が縮小しましたが、市場予想平均を下回ったことで、市場は売りの反応となりました。ただ、今期の年間配当は175円と、従来予想の150円から25円引き上げました。前期実績は360円ですので、前期と同水準の配当は期待できそうな状況です」と教えてくださいました。
3:サンリオ<8136>
続いて紹介するのは、ハローキティなどのキャラクター商品を企画販売するサンリオ<8136>です。サンリオショップを運営するほか、衣類や玩具といった商品や銀行や鉄道などの広告など、キャラクターのライセンスビジネスも展開しています。またサンリオピューロランドなどのテーマパークも運営しています。
同社の優待は、サンリオピューロランド、ハーモニーランドのテーマパーク共通優待券とサンリオショップやオンラインストアで利用できる優待券で、100株以上の保有で年2回受け取れます。また300株以上を3年以上継続保有すると、アクリルスタンドなどがもらえる特典もついています。 サンリオの優待制度を利用したAll Aboutの読者からは次のようなコメントをもらっています。
「サンリオの株主優待を利用して家族で何度かサンリオハーモニーランドに行きました。とてもいい思い出です」(女性・39歳・長崎県)
「株主総会前日に株主+1名が無料でサンリオピューロランドパークで遊べるのです。株主限定なので比較的余裕をもって遊べます。株主は私なので奥さんと2人のパークデート(笑)になるのですが、客層は株主なので私のような60歳前後の方々も来ていて、場違いにはならない! 安心して遊べます。普段は若者や女性、ファミリー層なので行きにくいでしょう。株主にはこういう楽しみ方もあるのですよ! 優待券は想定通りでしたが、まさか株主総会に合わせて株主をパーク招待してくれるなんて! こんな楽しみ方もあるんだァ~と想定外の出来事で喜んでました」(男性・61歳・神奈川県)
田代さんによると、サンリオは「今年、米MSCI社の代表的な株価指数である『MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス』に組み入れられたことで、海外投資家からの注目が一段と集まっている」とのこと。「5月の会社説明会では2027年3月期を最終年度とする中期経営計画や10年間の長期ビジョンの中で、グッズ販売のほかテーマパークやゲーム、映像などを通じて、IPによる価値最大化の方針を掲げており、市場の評価は高まっている」と言います。
株価については「2月に上場来高値を更新した後は、6,000円から7,000円水準でのもみ合いが続いていますが、不透明だった米関税方針も固まりつつありますので、高値更新は期待できるでしょう」と教えてくださいました。
4:力の源ホールディングス<3561>
次に紹介するのは、「一風堂」を運営する力の源ホールディングス<3561>です。他に「IPPUDO RAMEN EXPRESS」「名島亭」「因幡うどん」などがあり、2008年のニューヨーク進出を皮切りに、海外でも296店舗を展開中です(2025年3月現在)。
同社の優待は、100株以上の保有で年2回、保有株数と保有期間に応じて次のいずれか1種類を受け取れます。①店舗で使える優待券②オンラインストアで利用できる優待券③寄付(子ども食堂へのラーメン無償提供など)。 力の源ホールディングスの優待制度を利用したAll Aboutの読者は「ラーメン一風堂の高級なラーメンが食べられます。やはりおいしいです」(男性・68歳・千葉県)とおっしゃっていました。
そんな力の源ホールディングスの業績について、田代さんは「国内では、もともとの根強いファンにインバウンド需要が加わったことから2026年3月期業績予想は増収増益が見込まれている」と述べています。また、「訪日外国人数の伸びは一服しつつありますが、同社は海外店舗数を拡大しています。価格の違いに驚くかもしれませんが、『日本で食べた<IPPUDO>が本国でも食べられる』という戦略を背景に、今後は海外店舗運営事業の業容拡大に期待できます。株価は2023年以来の2000円台も十分視野に入ると考えます」と見通しについても教えてくださいました。
5:コロワイド<7616>
最後に紹介するのは、焼肉、定食、回転寿司などのレストランを運営するコロワイド<7616>です。積極的なM&Aにより、ステーキ、回転ずし、焼き肉などを運営するアトム、「牛角」のレインズインターナショナル、「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイト、大戸屋ホールディングスなどを子会社化しています。
同社の優待は、同社グループ店舗で利用できる優待ポイント(1万円相当)。500株以上の保有で年2回受け取れます。ただし、「牛角」「大戸屋ごはん処」「土間土間」など一部店舗では利用できません。 コロワイドの優待制度を利用したAll Aboutの読者からは次のようなコメントをもらっています。
「地元企業でもあるしよく利用していたし、優待利回りが当初10%近くあり、とにかくお得だった。寿司は他の回転寿司チェーンとは異なりかなり高級な部類なので、親戚が来た時などにテイクアウトで自宅でもてなせる」(男性・64歳・福井県)
「優待でもらえる食品がいいです。肉厚の和牛がおいしい。豚バラも美味。昔はお米もあって重宝しました」(女性・58歳・東京都)
「子どもの大学卒業で教育費がゼロになった分で、たまには外食で調理の負担を減らしたいと思っていて、優待で食事ができる銘柄を中心に優待生活を始めました。お節のお取り寄せにポイントが使えるなどかなり重宝しましたが、抽選制になり、最近は外食のためだけに使っています。近場にあるかっぱ寿司、カンティーナ、ステーキ宮で使うことが多いです。出かけた際の外食を優待で賄えるのはかなり魅力」(女性・69歳・神奈川県)
「とにかくいただけるポイントが多く、有効期限が1年と長く、1円単位で使えること、割引券などの併用もできることなど、使い勝手のよさがお気に入りです。基本的には、妻が仕事や外出で忙しく晩御飯の準備が難しい日は『行っちゃえ』と代打的な使い方をしており、金銭面だけでなく体力面、精神面でも助かっております」(男性・51歳・静岡県)
田代さんはコロワイドについて、「焼肉、回転寿司、居酒屋など幅広いジャンルの飲食店を展開しており、優待銘柄としても高い人気」とのこと。今後の見通しについても「猛暑によるビールやサワーなど夏物飲料の売上増加期待などを材料に、株価は年初来高値を更新しています。ここ2~3年は人件費増加や物価上昇に苦しみましたが、価格転嫁を進めたことで、コスト増加はほぼ吸収でき利益率も改善したと考えます。今後、企業の賃金上昇によって個人消費が拡大すれば、同社の売上拡大につながるでしょう」と教えてくださいました。
田代昌之(金融文筆家)
新光証券(現みずほ証券)やシティバンクなどを経て金融情報会社に入社。アナリスト業務やコンプライアンス業務、グループの暗号資産交換業者や証券会社の取締役に従事し、2024年よりフリー。ラジオNIKKEIでパーソナリティを務めている。
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