家計簿・家計管理

やらない理由が見当たらない!「ふるさと納税」は高所得者ほど得するおいしい制度

ふるさと納税は、税金を多く納める医師のような高所得者ほど、その恩恵をより多く受けられるお得な制度。手続きもたいして難しくありません。今回はふるさと納税の主な制度内容とメリットについて紹介します。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

「ふるさと納税」という制度をご存じでしょうか? 言葉は知っていても、まだ自分ではやったことがないという方も意外と多いかもしれません。特に忙しい日々を送る方の中には、「なんだか面倒くさそう」という理由で敬遠している方もいるようです。

しかし、この制度は税金を多く納める高所得者ほど、その恩恵をより多く受けられるお得な制度。手続きもたいして難しくありません。

今回はふるさと納税の主な制度内容とメリットについてです。

寄付額は年々増加し、今や1兆円を突破!

そもそもふるさと納税とは、自分の選んだ都道府県や市区町村に「寄付」をすることで、各地のおいしい特産品が味わえるうえ、納める税金の控除や還付が受けられるというお得な制度です。「ふるさと」といっても、寄付先は自分の生まれ故郷や出身地に限らず、全国約1800自治体の中から自由に、いくつでも選べます。都会と地方の税収格差是正を目的に2008年に創設された制度で、2014年頃から注目され、利用が広がっていきました。
ふるさと納税の受入額の推移の図

ふるさと納税の受入額の推移 ※総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」よりAll About編集部作成

寄付総額も右肩上がりに増加し、2024年度には合計1兆2727億円と過去最高を更新しています。

2000円の負担でおいしい返礼品が届く!

この制度がここまで人気を集めた大きな要因は、税金の優遇が受けられるだけでなく、寄付した自治体から豪華なお礼の品が送られてくることが広く知られたからです。当初返礼品を用意する自治体はまばらでしたが、その後、各自治体が次々とブランド和牛や海産物、銘柄米、旅行券などの魅力的な特産品をラインアップするようになり、激しい返礼品競争が繰り広げられました。

その後、制度趣旨を逸脱しないよう、総務省により返礼品の限度額や産地などの条件が何度も見直されてきました。その結果、以前に比べれば返礼率は下がりましたが、わずか2000円の自己負担のみで寄付額の最大3割相当の特産品が受け取れるのですから、利用価値は高いと言えるでしょう。

ふるさと納税は、本来自分が住んでいる自治体に支払う住民税の一部を、自分が選んだ自治体に振り分けるイメージの制度です。もし、ふるさと納税をしなければ、そのまま自分が住んでいる自治体に税金が入ることになり、特産品ももらえないわけですから、利用しない手はありません。 また、ふるさと納税では、応援したい自治体を自由に選べるうえ、寄付金の使い道を寄付者自身が選べます。多くの自治体が、実際に寄付金がどう使われたのかをホームページなどで公表しています。普段、自分が払った税金が何にどう使われているか分からなくて不満という方も、その使い道を実感できます。

さらに、ふるさと納税は社会貢献の手段としても有効です。地震や豪雨水害など、大きな災害が起こったとき、被災した自治体に迅速かつピンポイントでお金を届けられます。最近は地域の社会課題の解決に向けたクラウドファンディングの手段としても、活用されています。

寄付額の上限は年収や家族構成で異なる

ここでふるさと納税の大まかな内容を押さえておきましょう。例えば、寄付者が好きな自治体を選んで5万円寄付したとします。すると、寄付先の自治体には5万円が入り、そのうち約3割が返礼品として寄付者に送られ、残りの約7割が諸経費と寄付者の選んだ目的に使われます。
ふるさと納税の寄付金の使われ方のイメージ図

ふるさと納税の寄付金の使われ方 ※All About編集部作成

寄付者は寄付した翌年の確定申告で、寄付金額や寄付先などを記入して「寄附金控除」を申告します。すると、合計寄付額のうち2000円を除いた部分が全額、翌年の住民税から差し引かれたり、所得税から還付されたりして戻ってきます。
ふるさと納税の仕組みのイメージ図

ふるさと納税の仕組み ※All About編集部作成

上記の例だと4万8000円分戻ってくるので、結果的にわずか2000円の自己負担のみで、寄付額の3割相当(1万5000円)の返礼品を味わえるのです。

ただし、全額戻ってくる寄付額には上限があり、その人の年収、家族構成などによってそれぞれ異なります。ざっくり言うと、年収が高くて納める税金の額が高い人ほどその上限は高く、扶養家族が多い人ほど低くなります。

例えば、年収500万円で妻と高校生の子ども1人を扶養する会社員の上限は4万円で、年収1200万円の独身勤務医の場合は24万7000円です(総務省の目安表より)。その範囲内で寄付をすれば、2000円を除いた全額が戻ってきます。つまり、実質2000円の負担のみで特産品を楽しめます。

詳しい上限額の目安は、ふるさと納税関連サイトの早見表やシミュレーションなどで確認できるので、自分の年収や家族構成などを当てはめて調べてみましょう。  
なお、東京都など、一部ふるさと納税の対象とならない自治体もあるので、最新情報を確認する必要があります(2025年7月末現在、対象外自治体は東京都、兵庫県洲本市、長野県須坂市、岡山県吉備中央町)。また、自分が住んでいる自治体に寄付をしても、返礼品を受け取ることはできません。

以上、ふるさと納税の主な制度内容とメリットをご紹介しました。医師のような高所得者ほど多くの恩恵を受けられる制度なので、まだやったことがないという方は、ぜひ検討しましょう。特に今年は10月1日から制度改正でポイント付与が廃止されるので、できるだけ早く着手することをおすすめします。

執筆:塩田 真美(しおたまみ)

出版社の女性誌・マネー雑誌の編集部を経て、フリーの編集者・ライターとして活動。主に女性誌や広報誌、金融関連サイト、書籍などで、人物インタビューのほか、NISA(少額投資非課税制度)、株主優待、ふるさと納税、節約術などの記事を手掛ける。
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