Yahoo!ファイナンスの「株主優待人気ランキング」の中から、日本株に詳しい金融文筆家の田代昌之さんに「特に注目したほうがいい」という銘柄を厳選・紹介いただくシリーズ、今回は8月権利確定銘柄を5つ、取り上げます。
1: ビックカメラ<3048>
最初に紹介するのは、首都圏を中心に家電量販店のビックカメラを展開しているビックカメラ<3048>です。家電製品だけでなくお酒やおもちゃ、日用品なども扱っています。また子会社には郊外型店舗の多いコジマや、パソコン製品を数多く販売するソフマップを保有しています。同社の優待は買物優待券(1枚1,000円)。100株以上の保有で、所有株数と保有期間それぞれに応じた優待券を受け取れ、グループ企業の店舗だけでなく、楽天ビックなどのインターネット通販サイトでも利用が可能です。そんなビックカメラを買い、優待制度を利用したAll Aboutの読者からは次のようなコメントをもらっています(一部抜粋)。
「長期保有で優待額も上がるので、手放せません。おすすめの優待です。日用品を買うときの足しにしています。目薬や化粧水など、ここ最近優待券でしか買っていません」(女性・32歳・北海道)
「ビックカメラが徒歩圏内にあり、ビックカメラの日用品の品ぞろえが豊富だった。長期保有者優待もついて、配当と合わせるとお得感があり、家電から日用品まで必要なものが自由に買えるので便利でした」(男性・38歳・岡山県)
「ちょうど優待券が届くのが11月なので、現在はクリスマスのおもちゃを購入するのに使っています。子どもが大きくなったら家電購入の足しにしたり、日用品の購入に使う予定です」(女性・38歳・東京都)
「ビックカメラの店舗はもちろん、ソフマップ、コジマ、ビックカメラのネット通販、楽天ビックでも使えます。楽天スーパーセール時に、楽天ビックで注文し、後から注文番号とともに優待券を郵送し返金されます。同時に楽天ポイントももらえて一石二鳥です」(女性・41歳・神奈川県)
田代さんは、ビックカメラの業績について、「インバウンド需要の取り込み強化が奏功したほか、AI搭載パソコンが標準型となるなど高単価電子機器の売上増を受けて、上半期は好調。足元の好業績を材料に、2025年8月期業績予想を上方修正しました。インバウンド需要はそろそろピークアウトを迎えそうですが、AIの発展に伴う高単価電子機器の売上増は今後も期待できる」としています。株価については「6月からじりじりと上昇し、2024年の高値1,800円水準に迫っています。この水準を上抜けると、いよいよ2018年の上場来高値1,942円がターゲットとなるでしょう」と教えてくださいました。
2:良品計画<7453>
次に紹介するのは「無印良品」で有名な良品計画<7453>です。国内外の実店舗やネットストアで日用品や消耗品、旅グッズなどさまざまな商品を提供しています。また、カフェ・レストランのCafé&Meal MUJIや、インテリアブランドのIDÉEなども展開しています。同社の優待は買い物の際に7%割引が適用される優待カード。100株以上の保有で、年2回受け取れます。良品計画の優待制度を利用したAll Aboutの読者からは、次のようなコメントをもらっています(一部抜粋)。
「普段よく利用するお店の優待があるので購入を検討していました。新NISAで成長投資枠を使用できるようになったこと、株価上昇が見込めると思ったことから購入しました。物価高ですので優待していただけるのは助かります。いつもセール時に購入しておりましたが、今は必要な時にいつでも優待で買えるのでうれしいです。愛用している日用品や衣類などの購入時に利用しています」(女性・32歳・大阪府)
「小5になる娘が美容に目覚め、化粧品を買いたがります。安い化粧品もたくさんあるのですが、肌の弱い娘には合わなかったので、それほど高価ではないものの使えるものが多かった無印良品の化粧品のラインにそろえることにしました。何度でも7%オフになるのは助かっています。無印良品週間の10%オフにはかなわないものの、以前より優待が広がり5%から7%オフに変更になりよかったです」(女性・38歳・兵庫県)
同社の業績について田代さんは「衣服や雑貨では機能性インナーや夏物衣服がけん引したほか、生活雑貨も引き続き好調。月次国内既存店売上は前年同月比で大幅なプラスが続いています。約1,300店舗(2024年8月期末時点で国内655店舗、海外709店舗)を世界展開しており、半分を占めている国内店の堅調な売上が、業績のけん引役」と言います。株価については、「上場来高値を更新しており、戻り待ちの売り圧力が気にならない需給面はポジティブと考えます。高値圏で推移しているために利益確定売りが入りやすいですが、確かな業績が下支えとなり右肩上がりの展開は続くでしょう」とのことです。
3:イオン<8267>
続いて紹介するのは、イオングループ企業を統括するイオン<8267>です。グループ企業には総合スーパー「イオン」を運営するイオンリテールや、トップバリュ、まいばすけっと、イオンモール、イオンタウンなど、さまざまな分野に進出しています。同社の優待は、さまざまな特典が受けられる優待カード(オーナーズカード)。100株以上の保有で年2回、本人と家族用の2枚を受け取れます。また長期保有者には保有株数に応じてギフトカードも提供されます。そんなイオンの株を買ったAll Aboutの読者は、オーナーズカードや株主が利用できるイオンラウンジに魅力を感じている人が多いようで、次のようなコメントをもらいました(一部抜粋)。
「普段から食料品を購入するメインスーパーなので、キャッシュバックを魅力に感じました。日々のお買い物がお得に感じられる点が気に入っています。WAON POINTの還元でキャッシュバックを受け取り、ポイント利用キャンペーンの際に利用しているので、さらにお得に感じています。大人になってから『お小遣い』をいただいた気分でうれしかったです」(女性・48歳・愛知県)
「子どもが小さい頃、当時のママ友から株主だとイオンラウンジがひと休みするのにちょうどいいと聞いたのをきっかけに購入しました。現在はドリンク1杯のみですが、お金をかけずに休むことができるのがうれしいです。いまは予約制なので、事前にアプリで予約してから利用します。最近混んでいてなかなか予約が取れないのですが……。うちは母子家庭で経済的余裕がないこともあり、子どものジュースは買うよりここで飲む方が多かったと思います」(女性・55歳・東京都)
「意外とイオンシネマがいつでも1,000円で見られるということを知らない人、多いみたいです。映画好きには、1,000円で見られるのは魅力的です。昨年までは、ドリンクまたはポップコーンも付いていてよかったのですが、これがなくなったのは残念です。イオンシネマで映画を見たあと、イオンで買物して、イオンラウンジで紙パックのドリンクを飲んで、帰るというのがいつものコースです」(男性・59歳・埼玉県)
「イオンはよく利用しておりオーナーズカード利用でのWAONポイントが年3万円程度がつくので、総合利回りは10%くらいになります。イオングループにスポーツオーソリティがあり、オーナーズカード提示で5%引きなので、息子の部活用品なども購入しお得です。オーナーズカード利用時に、『レジでいつもありがとうございます』と言われてうれしかったです」(男性・53歳・東京都)
「年に2度のキャッシュバック(ポイント付与)がある。手続きもなく自動でポイントが付与されるため手間要らず。イオンアプリにオーナーズカードを登録することができ、携帯が不要、スマホのみで買い物に行けるのもいい。オーナーズカードが2枚届き、1枚はファミリーカードとして夫に渡すことができ便利だと思った」(女性・40歳・岐阜県)
同社の特徴について、田代さんは「中核のイオンリテールやダイエーは非上場企業ですが、コンビニのミニストップ<9946>、食品スーパーのユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス<3222>、金融事業のイオンフィナンシャルサービス<8570>、100円ショップのキャンドゥ<2698>など多くの上場企業を保有しています。こうしたことから、子会社のTOB(株式公開買い付け。買収手段の1つ)など構造改革に期待し、思惑も向かいやすい」と言います。
イオンを頻繁に利用するユーザーには、優待狙いで同社株を保有している人が多いと言い、「イオン経済圏の拡大が、同社の成長の鍵」とのこと。同社の見通しについて「2026年2月期業績は過去最高が見込まれており、2025年6月に株価は上場来高値を更新しました。今後、賃金上昇などを材料に個人消費の回復が明確となった場合は同社の追い風となるでしょう」と教えてくださいました。
4:U-NEXT HOLDINGS<9418>
次に紹介するのは、店舗・施設向け音楽・映像配信などのサービスでおなじみの「USEN」や動画配信サービスを運営する「U-NEXT」などを統括するU-NEXT HOLDINGS<9418>です。傘下にはほかにも、通信、エネルギー、金融、不動産などの企業があります。同社の優待は、動画配信サービス「U-NEXT」の視聴料と有料コンテンツの購入に使用できるポイント。100株以上保有していると受け取れますが、基準日までに専用URLへのログインが必要になります。同社の優待制度を利用したAll Aboutの読者からは、「単体で契約するといいお値段のU-NEXTが半年ごとに90日利用できるのはお得感がある。分割でより一層魅力的になった」(男性・28歳・大分県)といった声があったほか、これから買いたい銘柄にU-NEXT HOLDINGSを挙げている読者も見られました。
同社の業績について、田代さんは「豊富な映像・音楽コンテンツをベースに、2025年8月期業績は増収増益が見込まれています」としています。株価についても、「上場来高値を更新しており強い動きが続いています。予想配当利回りは1%に満たない状況ですので、今後、積極的な株主還元策を打ち出した場合、新たな投資家の参加も期待できるでしょう」と教えてくださいました。
5:吉野家ホールディングス<9861>
最後に紹介するのは、「吉野家」や「はなまるうどん」を統括する吉野家ホールディングス<9861>です。傘下には国内企業のほか、「吉野家(中国)投資有限公司」「アジアヨシノヤインターナショナル」など海外展開もしています。同社の優待はグループ企業で使用できる優待券(500円サービス券)。100株以上の保有で保有株数に応じた優待券を年2回受け取れます。また、200株以上保有していれば「株主様ご優待商品セット」との引き換えも可能です。田代さんによると、同社は優待銘柄として人気。All Aboutの読者でも保有している人は多く見られ、次のようなコメントをいただきました(一部抜粋)。
「飲食系の優待は楽しみがあっていいと思い、吉野家の株価が安価なときに購入し、今も保有を続けている。優待券は家族で分け合うことができるので、家族からも喜ばれている。吉野家の提供食品が好きなことと、同株式を購入して以降、一度もマイナスになっていない点がうれしい」(男性・61歳・千葉県)
「吉野家は買った直後に株価が大幅に下落しました。損切りしようとした絶妙なタイミングで配当金が入ったり優待券が届いたり、都度思いとどまってなんと20年以上も保有しています。今はプラス圏で安定して推移していますので売らずによかったと思っています。はじめのうちは店舗での食事にのみに使っていたのですが、最近は週末にファミリーパック(牛丼の頭や牛すきの肉のみ3~4人前)をテイクアウトし、家で好きな野菜を入れてアレンジメニューを作って食べていたりします。お勧めは牛すき肉でつくる自分好みのすき焼きです」(女性・52歳・神奈川県)
「それまでは吉野家に女性一人で入店することに少し抵抗があったが、株主になったことで堂々と入れるようになったように思う。また、牛丼以外のいろいろなメニューにトライするようになり、吉野家のファンになった」(女性・60歳・大阪府)
同社の見通しについて、田代さんは「米や牛肉の仕入れ価格上昇や人件費上昇などの影響から原価率は悪化しましたが、2025年4月に吉野家の価格改定を実施したことでおおよそ吸収。2026年2月期は増収・営業利益の増益を見込んでいます」と教えてくださいました。また、株価についても「優待狙いの長期保有投資家が多いことなどから、株価はゆっくりとした推移ですが、右肩上がりは続いています。株価が2倍になるなど急騰する展開は期待できないかもしれませんが、2023年の上場来高値3,585円を意識した展開は期待したいところです」とのことです。 田代昌之(金融文筆家)
新光証券(現みずほ証券)やシティバンクなどを経て金融情報会社に入社。アナリスト業務やコンプライアンス業務、グループの暗号資産交換業者や証券会社の取締役に従事し、2024年よりフリー。ラジオNIKKEIでパーソナリティを務めている。
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