年金・老後のお金クリニック

1963年6月生まれの62歳。働きながら厚生年金に加入中。繰り上げ受給するといくらもらえる?

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、年金の繰り上げ受給についてです。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。※サムネイル画像出典:PIXTA

All About 編集部

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、年金の繰り上げ受給についてです。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。

Q:1963年6月生まれの62歳。働きながら厚生年金に加入中。繰り上げ受給するといくらもらえる?

「1963年6月生まれで、現在62歳です。今も働きながら厚生年金に加入し保険料を払っています。年金の繰り上げ受給をした場合、いくらぐらい受け取れるのでしょうか? 厚生年金・国民年金の加入期間は480カ月を満たしています」(匿名希望・男性)
繰り上げ受給するといくらぐらいになる?(画像出典:PIXTA)

繰り上げ受給するといくらぐらいになる?(画像出典:PIXTA)

A:繰り上げ受給は、請求した時点の減額率で一生涯年金が減額されるほか、さまざまなデメリットがあるため、注意が必要です。年金の受給額については、年金事務所で確認しましょう

老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)は、原則として65歳から受け取れます。ただし、65歳より前に受け取りを希望する場合は、60歳から65歳になるまでの間の希望する時期に、繰り上げ受給の請求をすることが可能です。

老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰り上げをしなくてはなりません。繰り上げ受給をすると、繰り上げする期間に応じてひと月当たり0.4%※の割合で年金額が減額され、その減額は一生涯続きます。

【繰り上げ受給の減額率】
減額率(最大24%)=0.4%※×65歳に達する日の前月までの繰り上げ月数

※昭和37年4月1日以前生まれの方の減額率は、0.5%

例えば65歳から受け取れる年金を3年早く、62歳から受け取る場合、36カ月(3年)×0.4%=14.4%となり、65歳からの年金額よりも14.4%少ない年金を受け取ることになります。繰り上げ後の具体的な受給額については、最寄りの年金事務所で確認してみましょう。

つまり、繰り上げ請求をすると年金を早く受け取ることはできますが、長生きすればするほど、トータルで受け取る年金の合計額は少なくなる可能性があります。

さらに、繰り上げ受給には以下のようなデメリットもあります。一度繰り上げ請求をすると、原則として取り消すことはできません。また、国民年金の任意加入や保険料の追納もできなくなります。加えて、繰り上げ請求した日以降は、事後重症(障害認定日には基準に該当しない障害状態が、その後悪化した場合)に該当しても、障害基礎年金や障害厚生年金を請求できません。

なお、相談者は現在も働きながら厚生年金に加入しているとのことですが、厚生年金に加入して収入を得ている場合、「基本月額(老齢厚生年金の報酬比例部分の月額)」と「総報酬月額相当額(おおよその給与収入)」の合計が、支給停止基準額(令和7年度は51万円)を超えると、老齢厚生年金の一部、または全額が支給停止されることになります。繰り上げした場合も、在職老齢年金制度の対象になります。

繰り上げ受給を希望する場合は、これらのデメリットをよく理解したうえで、慎重に手続きを進めるようにしましょう。

※年金プチ相談コーナーに取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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