賃金の全国平均は33万円
厚生労働省が発表した「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、男女合わせた全国の平均賃金は33万円でした。なお、ここで言う「賃金」とは、労働契約にそって支払われた現金給与額から、残業代や休日出勤手当などを差し引いた額になります。また、令和6年6月に支払われた賃金の平均を「平均賃金」としています。
男女合わせた平均賃金のトップは東京都の40万円
全国平均より高くなったのが、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府の4都府県でした。そのうちトップに輝いたのは東京都の40万円。全国平均より7万円も上回る結果となっています。東京は世界の中でも富裕層が多く住む都市として知られており、超富裕層と言われる人たちも集まっています。彼らの収入が、東京の平均賃金を押し上げたことは間違いないでしょう。
また、都市部においては、家賃や物価などの生活コストが高く、それらを補うために企業が賃金を高くする傾向もあるようです。
それでは、47都道府県のランキングも見てみましょう。 20位以下の28県が平均賃金30万円を切っています。トップの東京都と最下位の宮崎県との差はなんと15万円。ランキングから都市部と地方圏に大きな開きがあることが分かります。
また、全国平均を超えているのも東京都、神奈川県、大阪府、愛知県しかなく、この4都府県が平均値を引き上げていると考えられます。
内閣府の「地域の経済2022」によると、都市部と地方圏の賃金格差の背景には「労働生産性」の差があるようです。
労働生産性の高い「金融・保険業」「不動産業」「情報サービス業」などは都市部のシェアに比べて地方圏はかなり下回っており、こうしたことが、このランキングにも表れているのかもしれません。
一方、賃金が高くても、物価が高ければ手元に残るお金は少なくなるでしょう。
総務省「消費者物価地域差指数」によると、東京都、神奈川県、北海道、千葉県、山形県などは物価水準が高く、鹿児島県、宮崎県、群馬県、大分県、福岡県などは物価水準が低いようです。
北海道や山形県は賃金の順位に対して、物価が高い傾向にあるということですから、生活していく上では厳しいかもしれません。
次に男女別の平均賃金ランキングも見ていきましょう。
男性のトップは東京の44万円
男性の全国平均は36万円で、それを上回ったのが、東京都の44万円、神奈川県と大阪府の38万円でした。4位の愛知県からは全国平均を下回る結果となっています。男女計ランキングでは滋賀県が10位にランクインしていましたが、男性に限ると、静岡県が10位となっています。自動車やバイク、楽器などのメーカーが静岡に多くあることが、静岡男性の賃金を上げた要因なのかもしれません。
女性の平均賃金は28万円
女性の全国平均は28万円で、男性より8万円も低いことが分かりました。また、女性部門のトップは東京都の34万円で、47都道府県中、唯一の30万円超えです。一方で、男女計や男性のランキングには見られなかった奈良県が、6位にランクインしている点にも注目です。
令和2年の国勢調査では、奈良県の女性就業率は全国最下位でした。働く女性の数が少ないことが、奈良女性の平均賃金を押し上げた可能性があります。
いかがでしたか? 賃金の高さが暮らしやすさに直結していないとはいえ、収入は多い方がいいですよね。
最近はテレワークの普及で、地方へ移住する人も増えています。移住先で転職したり、Uターン転職したりする場合は、給与水準が変わるかもしれませんので、慎重に計画を進めるといいでしょう。