Q:2025年8月で65歳になる会社員。70歳まで収入があるので老齢厚生年金は請求しないつもりですが、老齢基礎年金はどうしたらいい?
「2025年8月で65歳になる会社員です。70歳ぐらいまで月50万円程度の収入があると思うので、老齢厚生年金は請求しない予定です。しかし老齢基礎年金は65歳から受給したほうが得のように思いますが、いかがでしょうか?」(Jさん)
老齢厚生年金は繰り下げするつもりです(画像出典:PIXTA)
A:老齢基礎年金をいつもらい始めるとお得かどうかは一概には言えません。生活費の収支や今後のライフプランを考慮して決めましょう
相談者「J」さんは2025年8月で65歳の現役の会社員で、70歳まで月50万円程度の給与収入があるため、老齢厚生年金は65歳で請求しない予定、と書かれています。老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)は、原則65歳から受け取れますが、「J」さんのように、希望すれば、65歳では受け取らずに75歳になるまで遅らせられます。(昭和27年4月1日以前生まれの方は、繰り下げの上限年齢は70歳まで)
繰り下げした期間に応じてひと月当たり0.7%増額された年金を一生涯受け取れます。これを繰り下げ受給と言います。
ただし、60歳以上で厚生年金に加入して働き、老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額とおおよその給与収入の合計が、支給停止調整額の51万円(令和7年度)を超えると、老齢厚生年金が全額もしくは一部支給停止になります(在職老齢年金制度)。
注意点としては、繰り下げ期間中の老齢厚生年金も、在職老齢年金制度の対象になります。支給停止になった老齢厚生年金は増額されません。
「J」さんの場合ですが、65歳以降に月収が50万円程度の予定、とありますので、在職老齢年金制度によって老齢厚生年金が一部支給停止になる可能性が高いかと思います。ただし老齢厚生年金が一部でも支給されていれば、要件を満たす配偶者がいるともらえる配偶者加給年金額はもらえます。
「J」さんが老齢厚生年金を繰り下げた場合、在職老齢年金で支給停止となった場合の老齢厚生年金は増額されませんし、繰り下げ期間中は、老齢厚生年金が支給されませんので、配偶者加給年金も支給されません。
一方で、老齢基礎年金は在職老齢年金の対象ではないので、給与収入がいくらあっても全額支給されますし、繰り下げ期間中は増額されます。もし給与だけで生活に支障がないのであれば、老齢基礎年金も繰り下げ受給の申請をすると増額された老齢基礎年金を受け取れます。
「老齢基礎年金を65歳からもらったほうがお得か?」という質問についてですが、年金は長生きするほど多くもらえるものです。それぞれの方の寿命にもよりますので、いつもらい始めるとお得かどうかは、一概には言えません。
「できるだけ年金は早く受け取っておきたい」というご意向があれば、老齢基礎年金を65歳から受け取るのも一考です。生活費の収支や今後のライフプランを考慮して、老齢基礎年金を65歳から受け取るかどうかは検討してはいかがでしょうか。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)