
注目の7月権利確定銘柄は?
Yahoo!ファイナンスの「株主優待人気ランキング」の中から、日本株に詳しい金融文筆家の田代昌之さんに「特に注目したほうがいい」という銘柄を厳選・紹介いただくシリーズ、今回は7月権利確定銘柄を3つ、取り上げます。
1: 丸千代山岡家<3399>
最初に紹介するのは、『ラーメン山岡家』を運営する丸千代山岡家<3399>です。じっくり煮込んだ豚骨スープをウリに、24時間年中無休で営業しています。同社の優待は、ラーメン無料券もしくは代替品として乾麺またはお米。100株以上の保有で年2回受け取れます。All Aboutの読者で丸千代山岡家を買ったことがあるという読者からは、「子どもが山岡家が好きなので購入した。インカム(優待券)もキャピタルも入り、良かった。分割前に手放してしまったことを後悔しています」(男性・46歳・茨城県)といった声が寄せられました。また10年以上保有している女性は「年2回届くラーメン券は、店内商品の好きな物(定食、セット商品、大盛り含む)から選択でき、とてもお得です。店内仕込みのラーメンもおいしいです。ここ3年ほどで株価急上昇からの分割で、“恩株”になっており、株価も申し分ないです。ロードサイドの店が多いので、夫と出かけたときにお昼ご飯に寄ります。たいがい行列ができていますが、株主としては、待たされるほど混むのもうれしいです」(女性・55歳・岐阜県)と述べていました。
そんな丸千代山岡家の見通しについて、田代さんは、「北海道や北関東などを地域限定でラーメン店を展開していましたが、2030年1月期をターゲットに全47都道府県に店舗展開する構想を打ち出しています。ラーメンチェーンは、展開方法が、地域限定型か全国チェーンかの2択となる傾向にありますが、各店舗でスープを仕込む同社は全国チェーンの積極展開を選択しました。2025年1月に新規出店した和歌山県の店舗は活況とのことですので、幸先いいスタートを切ったと考えます」としています。
また取り巻く環境についても、「ラーメン事業を展開する企業は好業績が多く、同社も好業績が続いています。増え続ける訪日外国人がラーメンを好むほか、インフレに伴う価格転嫁が浸透したことなども追い風となっています」とのこと。
同社の株価については「分割などを考慮した上場来高値圏で推移しています。そのため、戻り待ちの売り圧力は小さく、需給面は良好です。同業他社のPER(株価収益率)は16~20倍程度ですので過熱感は感じられません。今後も好業績を裏付けとした堅調な株価推移が期待できるでしょう」と教えてくださいました。
2:バルニバービ<3418>
次に紹介するのはレストランやカフェ、スイーツショップなどを運営するバルニバービ<3418>です。パリのカフェ文化に影響され、1995年に大阪南船場に第1号店を開いたのを皮切りに、全国で103店舗(2025年1月末現在)を展開するまでに至っています。同社の優待は組み合わせ選択式となっており、対象店舗で利用可能な電子チケット、同社が手掛けるお取り寄せサイトの割引コード、同社オリジナル商品の中から、保有株数に応じた選択となります。All Aboutの読者でバルニバービの株を保有している方によると、「使用できる店舗が少ないので、ECサイトから食品(冷凍)を選んだが、クオリティーが高かった。100株から選べるので(私は200株)、10万円程度で購入できる。100株ごとに(利用可能な)金額が上がり、購入できるものもグレードが上がる。他の月には抽選もある(私は当たらなかった)株主に優しい優待内容だと思う。買い物に行けないときに、冷凍食品があると安心する。ハンバーグやカレー、チーズケーキを頼んだ。冷凍食品は普段買わないが、とてもおいしく満足できた。株主への愛情を感じた」(女性・59歳・神奈川県)と教えてくださいました。
バルニバービを注目銘柄に選定した理由を、田代さんは「カフェやレストランを全国各地で展開するほか、“食から始まる地方創再生”として淡路島や出雲市の地域開発プロジェクトも行っています。株式市場では地方創生関連銘柄としても知名度は高く、早い段階からプロジェクトを進めていた淡路では今年8月にも地方創再生の一貫としたコテージを出店するなどプロジェクトは継続中です」と地方創生銘柄としての魅力を感じているとのこと。
同社の見通しについても「売上の9割を占めるレストラン事業は、日本全国で新規出店を進めており好調です。2025年7月期業績は各利益が前年同期比で2桁の増益率と改善が見込まれています。インフレに伴う価格転嫁や訪日外国人需要の増加などが追い風となっています」としています。
また「足元の株価は3月の年初来高値に迫っています。この水準を上回ると、戻り高値である2024年高値の1,510円、2023年高値の1,760円がそれぞれ意識されるでしょう。なお、日々の売買代金は1万~2万株ほどとさほど大きくありませんので、売却したいときに売却したい価格で売れないなど流動性には注意が必要です」と、売却時のポイントを教えてくださいました。
3:JMホールディングス<3539>
次に紹介するのは、「肉のハナマサ」を手掛けるJMホールディングス<3539>です。茨城県に本社を置く同社は、「焼肉や漫遊亭」「ジャパンミート生鮮館」、食肉卸売センター「MEATMeet」など食肉を軸とする事業を展開しています。2024年7月期の同社の優待は、同社グループ内で利用できる商品券・精肉関連商品・南魚沼産こしひかりのいずれか1つ(2025年度の内容は未定)。100株以上を1年以上保有すると年1回受け取れます。All Aboutの読者でJMホールディングスの優待を受け取ったことがある方によると、「お米がもらえた時には、スーパーのお米探しから解放され、大変ありがたかった」(女性・48歳・神奈川県)、「コストコで購入するような肉のパックが到着します。いつも事前に冷蔵庫の整理をしてお迎えしております」(男性・51歳・静岡県)、「ボリューミーな肉が送られてきてびっくりしました。おいしかったです」(男性・37歳・神奈川県)といった感想が寄せられました。
田代さんはJMホールディングスの「肉のハナマサ」について、「私も近所に『肉のハナマサ』がありますので、1カ月に1回程度、冷凍食品や肉類を中心にまとめ買いしています。業務用のメガサイズから一般家庭用まで幅広い商品を取りそろえていますので、買い物しがいがあるスーパー」と評価しており、今回も注目銘柄に選定したとのこと。
事業展開については「インフレに伴うコスト転嫁が奏功したことから、スーパーマーケット事業が堅調に推移しており、2025年7月期業績は増収増益を見込んでいます。2024年10月からは関西でも『肉のハナマサ』の新規出店を進めており、今後も出店攻勢をかける予定です。今後、米国関税方針の影響で行き先を失った米国向けの商品が、同社に流れてくる可能性もありますので、要注目と考えます」と教えてくださいました。
株価については「2024年に3,385円をつけた後は調整局面が続いていましたが、今年4月の2,103円で調整一服。足元は2,500円水準で推移しています。同社のPERは10倍ほどにとどまっています。同じく業務用スーパーマーケット事業を展開している神戸物産<3038>がPER40倍台であることを考慮するとJMホールディングスは割安なため、見直される余地は十分あると考えます」とのことです。 コメント:田代昌之(金融文筆家)
新光証券(現みずほ証券)やシティバンクなどを経て金融情報会社に入社。アナリスト業務やコンプライアンス業務、グループの暗号資産交換業者や証券会社の取締役に従事し、2024年よりフリー。ラジオNIKKEIでパーソナリティを務めている。
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