「熟年離婚なんて、今さらどうなの?」と思う方もいるかもしれませんが、今や人生100年時代。40代はもちろん、50代や60代からでも人生をリスタートさせることは十分可能です。熟年離婚は、残りの人生を幸せに生きるための手段の1つ。では、具体的にどんなケースであれば熟年離婚を真剣に考えるべきなのか解説していきます。
CASE1. 妻に対する感謝の気持ちがない
仲良し夫婦に共通する代表的な特徴に、「『ありがとう』をしょっちゅう言い合っている」というものがあります。良好な夫婦関係は、感謝の気持ちを伝え合うことから始まるといってもいいでしょう。ところが夫婦生活が長くなると、家事や育児にどれだけ尽くしてきても「妻なのだから当たり前だろう」としか思わなくなってしまう夫も少なくありません。
感謝のない関係は、必ず心をすり減らします。夫のために自分の人生の大半を費やしてきたにもかかわらず、感謝やねぎらいの言葉どころか命令口調だったり、あるいは無視されたりする日々では、妻の自尊心は削られる一方です。
離婚という選択は、心をすり減らす日常から自分を救い出すための手段の1つです。「これ以上、つらい思いをしたくない」と感じるのであれば、自分自身の人生に「感謝される時間」を取り戻す決断をするのも選択肢となるでしょう。
CASE2. 夫のお金が不倫相手に流れている
長年連れ添った夫に浮気をされているという事実だけでも心が折れることなのに、さらに家のお金や財産が不倫相手に使われていると知ったら、耐えがたい気持ちになるのではないでしょうか。もしもそんな事実が発覚したら、ためらわず熟年離婚に踏み切っていいでしょう。浮気は年齢に関係なく許される行為ではありませんが、特に熟年世代における浮気は深刻です。精神的な裏切りに加え、経済的にも今後の人生の基盤が崩されてしまうからです。身勝手な浮気夫のために、搾取され続ける人生を回避する必要があります。
熟年離婚という選択は、これまで夫婦で築いてきたお金を、夫の不倫によってすべて使い尽くされるのを防ぐための手段でもあります。熟年離婚をすれば、少なくとも財産の半分は守ることができます。しっかりと準備して熟年離婚に臨み、自分自身の未来を守りましょう。
CASE3. モラハラ夫
暴言や支配的な態度、人格否定や無視といった目に見えない暴力であるモラルハラスメント(モラハラ)は、時間をかけてじわじわと心を壊していきます。ところが、夫婦生活が長くなると、長年にわたって夫のモラハラに気付かず、それに耐えてきた妻たちほど「今さら離婚なんて無理なのでは」「この年齢でひとりになるのも不安……」と諦めてしまいがちです。モラハラは放っておいても改善することはありません。むしろ、年齢を重ねるほどエスカレートし、相手の人生をさらに傷つけていきます。熟年世代にとっては時間こそが大切な資源。人生の残りの時間を、どれだけ心豊かに有意義に過ごせるかが重要になります。
だからこそ、モラハラ夫との熟年離婚は「自分自身を大切にして生きていく」という宣言でもあります。支配され続ける夫婦生活を抜け出し、自分自身を取り戻すための熟年離婚であれば、それは「逃げ」ではなく「前進」です。友人と旅行をしたり、好きなものを食べたり、趣味を広げたりしながら、新しい人生を楽しみましょう。