どこへ行き、何を味わい、誰と過ごすか。想像を巡らせながら心を弾ませる時間は、旅の醍醐味(だいごみ)の1つです。そして、そんな充実の旅に欠かせないのが「旅行費用の準備」。
今回は、特別な旅行をもっと楽しむために、無理なくレジャー費を準備する方法をご紹介します。
「旅を計画する時間」が生きがいになる理由
シニア世代にとって、旅行は人生を豊かに彩る「イベント」の1つかもしれません。「どこに行こう?」「何をしよう?」とあれこれ考える準備期間は、旅の醍醐味ともいえる時間。目的地を選んだり、季節や風景を想像したり、ご当地グルメを調べたり……いろいろなことを想像することが日々の暮らしに張り合いを与えてくれます。
例えば、歴史好きな方であれば、行きたかった城巡りを計画してみる。鉄道ファンであれば、観光列車の旅を満喫するのもおすすめ。さらに、趣味の写真や絵を目的にした「作品づくりの旅」、食べ歩きが好きな方なら「ご当地グルメを巡る旅」など、自分の関心や体力に合わせて自由に組み立てられます。
このように、旅の準備は「ワクワクを育てる活動」。これからの人生をより楽しく、前向きに過ごすきっかけになるでしょう。
旅行費用はいくら必要? 想定費用の出し方
旅行を楽しむためには、「どれくらいお金がかかるのか?」を把握しておくことが大切です。特にシニア世代は、限られた年金や貯蓄の中から旅行費用を工面する場合も多いため、きっちり予算を立てて臨むことが安心につながります。例えば、2泊3日の国内旅行で想定する費用は以下のとおりです。
【旅行費用の内訳(1人あたりの想定費用)】
・宿泊費(2泊):3万~4万円
露天風呂付き客室にするか、リーズナブルなビジネスホテルにするかで差が出ます。
・交通費(旅費、現地移動のタクシー代など):4万~5万円
JRの「ジパング倶楽部」などの割引を利用すると、最大30%割引になることも。
・食費:1万5000~2万円
宿泊先で食事込みとなる場合、食事ナシで外食中心にするかで変わります。
・お土産や観光費:5000~1万円
観光地の入場料、地元のお土産・休憩時のスイーツ代などが含まれます。
・旅行保険:500円程度
万が一のケガやトラブルに備えて、インターネットなどで簡単に加入できます。
・予備費:全体の1~2割、約2万円あると安心
近年は物価高やインバウンド(訪日外国人旅行者)の増加により、宿泊費や交通費が高騰していることから、旅行の予算もやや上がりがちです。「合計でおおよそ10万~15万円程度」が1つの目安になりますが、日帰りや1泊であればより手軽に、反対に連泊やクルーズ・観光列車といった特別な体験を加えると、さらに費用がかかる可能性もあります。計画を立てる際には、現地の混雑や価格動向にも目を配っておくと安心です。
しかし、オフシーズンを狙えば、宿泊費や交通費が大幅に安くなるケースも。費用を抑えたい場合は、「時期選び」も大切なポイントになります。旅行費用は、行き先・目的・スタイルによって大きく変わります。事前に予算を組んでおけば、行き当たりばったりで散財することもなく、旅を楽しめます。
毎年の旅行費用をどうつくる? 資金捻出と積み立て方法
「旅行には行きたいけれど、旅行費用の準備が大変……」という方も多いかもしれません。そのような方は、老後資金から旅行費用の全額を引き出すよりも、半分~1/3の額は、「日々の積み重ね」でムリなく準備することも検討しましょう。ここでは、シニア世代にも取り入れやすい3つの方法をご紹介します。
●毎月の「旅積み立て」を習慣にする
旅行を続けるコツは、レジャー費を毎月少しずつ準備しておくこと。例えば、毎月5000円ずつ旅積み立てをすれば、1年で6万円。日々の出費とは別に「旅専用口座」をつくると、手をつけずに貯めやすくなります。「旅行は毎年のごほうび」と考えることで、日々の節約にもメリハリが出ます。
●積み立てのしくみをうまく使う
積み立てには、いくつかの方法があります。
【積立定期預金】
銀行の自動積立定期で設定すれば毎月、自動的に引き落としされます。わざわざ資金移動をする必要もなく、貯金が苦手という方でも簡単に継続できます。
【旅行積立】
旅行会社が提供するもので、毎月口座から自動振替にて旅行費用を積み立てることができます。積立期間は旅行会社によって違いますが、6~60回までの回数を選択することになります。さらに、毎月の掛け金にプラスしてサービス額がプラスされます。詳しくは以下のサイトで確認できます。
・JTBの旅行積立「たびたびバンク」
・HISの旅行積立「貯めチャオ」
どちらの積み立ての場合も、年金や給料が入ったらすぐに貯めることがポイント。余ったら貯める、ではなく、「先に貯めて、残りで生活」が成功の秘訣(ひけつ)です。
●日々の出費を見直して「旅行費用」に変える
もし旅積み立てのための余裕がない場合は、毎月の支出を見直して「ムダ」をカットするのも有効です。
・スマホ料金やWi-Fiなど通信費を見直す
・使っていないサブスク(定期配信・動画サービスなど)を解約する
・お酒・お菓子・外食など、知らずに使っている「なんとなく出費」を記録してやめてみる
月に数千円でも見直せれば、それをそのまま旅積み立てに回すことができます。「自分の楽しみのため」と目的がはっきりしていると、節約も楽しくなります。