Q:夫は老齢基礎年金と老齢厚生年金、妻は老齢基礎年金を受給しています。夫が先に亡くなった場合、妻は遺族年金をもらえる?
「夫婦共に65歳以上。夫は老齢基礎年金と老齢厚生年金、妻は老齢基礎年金を受給しています。もし、夫が先に亡くなった場合、私は遺族年金をもらえるでしょうか?」(匿名)
夫が先に亡くなった場合、遺族年金はもらえる?
A:状況次第ですが、遺族基礎年金や遺族厚生年金、経過的寡婦加算がもらえる可能性があります
国民年金や厚生年金保険に加入している人・加入していた人が、亡くなった時点で、その人に生計を維持されていた遺族は、遺族年金を受け取れます。遺族年金には、亡くなった人が加入していた保険制度によって、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」の2種類があります。
遺族基礎年金、遺族厚生年金を受け取るには、受給要件があります。亡くなった人に年金の加入状況によって、どちらか片方のみ受給・両方受給できる場合もあります。
■遺族基礎年金
遺族基礎年金は、18歳になった年度の3月31日までの子、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子や、その子の親が受け取れる年金です。
相談者の場合、条件に当てはまる子がいれば遺族基礎年金をもらえます。
■遺族基礎年金の年金額
令和7年度で83万1700円※+子の加算額(1人目および2人目の子の加算額は各23万9300円、3人目以降の子の加算額は各7万9800円)となります。
※昭和31年4月1日以前に生まれた方は年額82万9300円
■遺族厚生年金
遺族厚生年金は、受給資格期間が25年以上ある人(厚生年金に加入している在職中の人・厚生年金受給中の人)が亡くなった時点で、その人に生計を維持されていた遺族が受け取れます。
相談者の夫に厚生年金の加入期間が25年以上あり、夫が亡くなった時点で相談者が夫に生計を維持されていた場合には、相談者は遺族厚生年金を受け取れます。
■遺族厚生年金の年金額
遺族厚生年金の年金額は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額です。
■経過的寡婦加算
遺族厚生年金を受けている妻が65歳になり、自分の老齢基礎年金を受けるようになったときに、65歳までの中高齢寡婦加算の代わりに加算される金額のことを指します。
相談者ご夫婦は65歳以上ですので、昭和31(1956)年4月1日以前生まれで、夫に厚生年金の加入期間が20年以上ある場合、相談者の老齢基礎年金に経過的寡婦加算が上乗せされます。相談者に障害年金の受給資格がある場合は支給停止されます。経過的寡婦加算額は、受給者の生年月日に応じて設定され、昔に生まれた人ほど加算額が高くなります。経過的寡婦加算額は改定されます。
※令和7年度の年金給付の経過措置一覧を参照ください。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/kyotsu/nenkingaku/20150401-02.files/0704.pdf
現在、相談者は老齢基礎年金のみ受給しているとのことですので、夫が死亡した場合に相談者が受け取れる遺族年金は、次のようになります。
遺族厚生年金(夫に厚生年金加入期間25年以上ある場合)+経過的寡婦加算(相談者が昭和31年4月1日以前生まれの場合)
※18歳になった年度の3月31日までの子、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子がいる場合は、遺族基礎年金も受け取れます。
詳細の金額については、年金事務所に問い合わせてみましょう。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)