食生活・栄養知識

味付け海苔の食べ過ぎは体に悪い? リスクとデメリット

【大学教授が解説】味付け海苔は海藻ですが、食べ過ぎは体によくありません。ヨウ素や塩分の過剰摂取による、甲状腺機能低下症や高血圧のリスクも。注意すべきポイントと適量の目安を、分かりやすく解説します。

阿部 和穂

執筆者:阿部 和穂

脳科学・医薬ガイド

味付け海苔

体によさそうな味付け海苔。でも、食べ過ぎるのは危険?(※画像:Shutterstock.com)


「味付け海苔が大好きで、食べ始めたら止まらない」という方がいるようです。気持ちはよく分かります。私自身も、味付け海苔で温かいご飯を巻いて食べるのが大好きです。

結論から申し上げると、ご飯のお供として毎日少しずつ食べる分には、何の問題もありません。しかし、おやつ代わりにバリバリと大量に食べてしまう習慣がある場合は、健康を損なう恐れがあるため、やめたほうがいいでしょう。主な理由は3つあります。分かりやすく解説します。
 

味付け海苔、食べ過ぎのデメリット1. ヨウ素の過剰摂取による健康リスク

海藻類には、「ヨウ素」が豊富に含まれています。ヨウ素は、私たちの体内で「甲状腺ホルモン」(サイロキシンやトリヨードサイロニン)の原料になります。「甲状腺ホルモン」は、酸素消費の増加、熱産生の増加、体温上昇などの「基礎代謝の上昇」や、糖代謝、タンパク質の分解、脂肪分解などの「代謝の促進」を担っています。そのため、一定量のヨウ素の摂取は必要で、海藻類は重要な摂取源です。

そして、1日のヨウ素の推奨摂取量は、成人男性・女性ともに0.13ミリグラムとされています。私たち日本人は日頃から昆布やわかめ、ひじきなどをよく食べる傾向があるため、ヨウ素が不足している人はほとんどいません。「頑張って海藻を食べてヨウ素を補おう」などと考える必要はまったくありません。むしろ、必要以上に摂ることのデメリットに注意すべきです。

ヨウ素が甲状腺ホルモンの原料になるなら、多く摂るほどいいのでは?と思いがちですが、実際はそうではありません。甲状腺ホルモンは、多過ぎても少な過ぎてもよくないのです。常に適量がバランスよく働くよう、体内で産生量が調節されています。過剰にヨウ素を摂取すると、甲状腺ホルモンの産生は逆に抑制されてしまい、「甲状腺機能低下症」になることがあります。ですから、「海藻類は健康にいい」と思い込んで必要以上に食べると、健康を損なう可能性があると知っておくべきでしょう。

味付け海苔も海藻類の一種である海苔で作られています。海苔に含まれるヨウ素の量は、昆布やひじきよりも少ないため、そこまで神経質になる必要はありませんが、ヨウ素の摂り過ぎになるほど食べるべきではありません。
 

味付け海苔、食べ過ぎのデメリット2. 塩分の過剰摂取による健康リスク

さらに注意すべきなのは「塩分」です。味付け海苔は醤油などで味付けされています。特に韓国のりなどは、多量の食塩が加えられているため、バリバリと食べてしまうと塩分の摂り過ぎになりやすいです。

すでに多くの方がご存じのように、塩分の過剰摂取は高血圧を招きます。高血圧が続くと動脈硬化が進行し、脳卒中や心筋梗塞など命に関わる病気を引き起こす恐れがあるため、注意が必要です。
 

味付け海苔、食べ過ぎのデメリット3. 繊維質豊富なため、胃腸が弱い人は注意

味付け海苔は、繊維質も豊富に含んでいます。いいことのように思われそうですが、胃腸が弱い方が食べ過ぎると、腹痛や下痢を起こすことがあります。

味付け海苔にもさまざまな種類があり、体質にも個人差があります。そのため一概には言えませんが、栄養面から考えると8切なら1日2~3枚が適量です。つい食べ過ぎてしまう方は、数枚ずつ個包装されたタイプの味付け海苔を「1袋だけ」と決めておくと、摂取量の目安になるので、おすすめです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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