亀山早苗の恋愛コラム

元妻・篠原涼子を「長女」という市村正親に共感の声。“夫婦”と違う関係に心地よさを感じる人々

俳優の市村正親さんが、25歳年下の元妻・篠原涼子さんを「市村家の長女」と語ったことに、女性たちから共感の声が上がっている。夫婦として一緒に暮らすことは難しくても、互いにとってのベストな距離感をつかみ、うまくいったというカップルに話を聞いた。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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近すぎる距離が心を離れさせることもある

近すぎる距離が心を離れさせることもある

俳優の市村正親さん(76歳)がテレビのトーク番組で、4年前に離婚した篠原涼子さんについて「彼女は市村家の長女」と称した。

二人は25歳という年齢差を乗り越えて2005年に結婚。2008年に長男、2012年に次男が生まれている。親権は夫がもったが、篠原さんはたびたび自宅を訪れて家族として時間を過ごしている。市村さんは、今年の正月は家族で箱根で年越し、たびたびみんなで食事もしていると明かした。「僕はあの女優の大ファンなんですよ」とも話している。

夫婦としてひとつ屋根の下に暮らしていれば、些細なすれ違いが大きなもめごとになっていくこともある。だが物理的に離れると見なくてすむものが出てきて、もめごとは減っていく。家族として、しかも篠原さんを妻ではなく“長女”と位置付けることで、市村さんの中で何かが吹っ切れたのだろう。

夫婦としてはやっていけなくても、人間同士なら敬意を保つことができる。そんなカップルは案外多いのかもしれない。

たとえ離婚しても……

「この発言、よく分かります」

そう言うのはリカさん(44歳)だ。彼女はつい最近、15年にわたる婚姻関係を解消した。13歳の娘はリカさんと暮らしている。

「夫は徒歩3分の近所のマンションに住んでいます。ここ2、3年、夫とは顔を合わせれば皮肉の言い合いになっていて、娘にも悲しい思いをさせた。あるときじっくり話し合ったんですよ。大恋愛を経てせっかく結婚したのに、なんだか距離感を間違えたねというのが結論でした」

26歳のときに出会ってすぐに恋に落ちたのだが、当時は互いに恋人がいたために別れるのに苦労した。それでもなんとか一緒になろうといろいろな犠牲を払って、ついに29歳で結婚したのだ。

「結婚できてよかったと思ったのですが、私たち、それがゴールになっちゃっていたんですよね。結婚後の青写真は何もなくて、価値観をすりあわせることもなくて。ただ一緒にいられてよかったと言っている間に子どもができて。共働きでどうやって生活をうまくやっていくかとか、そんなことも話し合わなかった。結局、いつも私だけが負担を強いられているという気持ちになり、夫に嫌みばかり言っていました。あんなに好きだったのに、どうしてうまくいかないんだろうとヤケになったりもしましたね」

夫とは“いとこみたいな関係”

その結果が、「私たちがベストな関係でいることが娘にとってもいい」となったのだ。近所に住むと、一緒に住んでいるときより連絡が密になった。週末は娘をどこに連れていこうかと話が弾む。

「互いに恋人ができたら紹介すると約束しています。私は今、娘との暮らしが楽しいし、娘が夫のところに行きたいと言えば、送っていくだけのこともあれば、私も一緒に時間を過ごすこともある。私は夫を“いとこみたいな関係”だと思っています。夫婦でいることがベストなわけじゃなくて、この距離感がベストなんだと感じますね」

夫婦関係を続けていたら我慢ばかりして、いつか爆発していたとリカさんは言う。冷静に話し合えるうちにいい結論が出せたと胸を張る。

子どもたちが育ったあとに

「老後は夫と二人、穏やかに暮らしていけたらいいなと思っていたんですが」

それが幻影だったと感じたのは、マリコさん(57歳)が50歳になったときだった。二人の子が社会人、大学生になったそのとき、「あれ、私はまだ老後じゃない」と気づいたのだという。

「夫と二人で地味に暮らすのはまだ早い。私はこれからやりたいことができるんじゃないかと思いました」

コツコツと勉強していた韓国語をブラッシュアップするために、韓国への留学を決意したのだが、夫は大反対。「オレの毎日はどうなるんだ」と居丈高になったことが、マリコさんの決意をさらに強くした。

「分かりました、じゃあ、離婚しましょうと言ったら、夫は目が飛び出そうな顔をしていました。パートとはいえ、私も長く働いてきた。掛け持ちで仕事をしていたこともあります。子どもたちのために貯金をと思っていたけど、自分のために使おうと決めたんです。いくつまで生きるか分からないけど、今後の人生を全て夫のために使うのは絶対に嫌だと思った」

もちろん、夫を嫌いになったわけではないのだが、夫の「身の回りの世話」だけをするための人生はごめんだったという。

離婚届を置いて留学へ

「夫には分かってもらえませんでしたから、離婚届を置いて留学を強行、その間、子どもたちが夫を説得してくれたみたいです。夫も冷凍食品や出来合いの総菜などを活用すると自炊ができると分かったみたい」

人に必要とされないのは寂しいとも言われるが、マリコさんは「家事担当として必要とされるのは違う。それはお金を出せば仕事として誰かがやってくれますから。心が、相手を必要としているならいいけど、夫からはそれが感じられなかった」

“従順だった”妻の思わぬ反乱に夫は本当に驚いたことだろう。だが、彼女が従順だったのは、ひとえに子どもたちのためだった。

「留学から帰ってきて、韓国がらみの会社で仕事を始めました。会社近くにワンルームのマンションを契約しようとしたとき、夫から『とりあえず共同生活をしないか』と言われて。離婚届は夫が出さなかったんです。そこからはルームシェアみたいな暮らし方をしていますね。子ども二人は完全に独立していますが、ときおり帰ってきて食事をしたり、たまに子どもと映画に行ったり。先日は夫ともデートしました。外で待ち合わせて食事して、なんだか新鮮でした。同じ家で暮らしているけど、互いのプライバシーには配慮しています。ものすごく快適です」

大人になってから初めて、自分の人生を生きている感覚があるとマリコさんは笑顔を見せた。
夫婦関係、近すぎる距離は年を経るにつれ、妻にとって負担が大きくなるのかもしれない。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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