説明は難しいが、試してみると一発で分かる不思議なキーリングの誕生
「たまたま友人と話していたとき、キーリングに鍵を付けるのはいつも苦労すると聞いて、もしかしたら、コイルドウェーブスプリングになら簡単に鍵が通せるのではないかと思ったんです」と斉藤さん。実際に試してみると、スルスルと簡単に鍵が通って自分でも驚いたそうです。そこで、試作品を作って展示会に出すと、これがテレビなどでも取り上げられてヒット商品になりました。
使い方は本当に簡単で、リングにある隙間に鍵を差し込んで、そのままぐるぐるとリングを回すだけ。いつの間にか鍵の穴がリングに通っているのです。外すときは、リングの端を持ち上げると簡単にリングが開くので、そこから鍵を取り出します。
ただそれだけなのですが、実際にやってみると、いつの間にか鍵がリングに付いていることにも、とても簡単に外せることにも、かなりビックリします。テレビで取り上げられたときに、所ジョージさんが「世の中のキーリングが全部これになればいいのに」とおっしゃったのも当然という感じなのです。 「ただ見ただけでは分からないし、単に『簡単に着脱できるキーリングです』と説明しただけでも伝わりにくいんですよ。ギフトショーなどの展示会でブースに並べていても、『知恵の輪かな?』といった反応で」と斉藤さんは苦笑いします。
しっかりと閉じるのに、簡単に開くというコイルドウェーブスプリングの性質を、バネではなくキーリングに使うという発想の転換は、意外過ぎて「実はバネなんです」と言っても伝わらないのでしょう。ただ。説明を聞くと納得できるしビックリするし、しかも手にしたその瞬間から便利に使うことができるのです。そういう製品は、なかなかありません。
筆者は友人に1個あげたのですが、彼はその場で自分のキーホルダーに付いていたキーリングをスマートキーリングに変えて喜んでいました。 着脱しやすいキーリングというのは、「スマートキーリング」だけではありません。筆者もこれまでに、いくつかの製品を試したことがあります。また、カラビナのような、リングではないけれど簡単に着脱できる構造もあります。
それらには一長一短ありますが、個人的には「スマートキーリング」の構造やデザインのシンプルさが気に入っています。問題の解決の方法が、それこそ「スマート」だと感じるのです。とはいえ、実際に触ってみないとなかなか伝わりにくい製品なので、一度使ってみてもらえればと思っています。