確かに、一般的に経済的に余裕のある人のお宅は、整っていて清潔感があり、モノの置き方にも秩序を感じることが多いように思います。とはいえ、実際のお金持ちの中には、意外にも「モノが多い、雑然としている」という部屋に暮らしている場合もあります。今回は、その違いには何があるのか解説します。
スッキリした部屋が「心」を整える理由
部屋が片付いていることと、経済的な豊かさには、実は深いつながりがあります。というのも、人の心と暮らす空間は、思っている以上に影響し合っているからです。例えば、部屋が散らかっていると、「なんとなく落ち着かない」「イライラする」「集中できない」など、気持ちが不安定になりがち。
逆に、部屋が整っていると視覚的な情報が少なくなり、自然と気持ちも落ち着き、冷静な判断や集中がしやすくなります。
また、居住空間が快適で心地よければ、「家で過ごす時間が好き」になりますが、部屋が散らかっていると「家にいたくない」と感じてしまい、つい外出が増えることも。すると、リフレッシュのつもりが外食や買い物でムダ遣いにつながってしまい、お金が出ていく……そんな悪循環になってしまうのです。
さらに、部屋が片付いていないと「何があるか分からない」状態になり、同じようなモノを何度も買ってしまう原因にも。
気付けば家の中はモノであふれ、財布の中身はどんどん寂しく……ということにもなりかねません。
つまり、部屋を整えることは、気持ちを整えること。そしてそのことが、仕事や家事への集中力アップ、ムダな出費の防止、生活全体の質の向上につながっていくのです。
でも実は……「部屋が散らかっている」お金持ちも存在する
一方で、「部屋が片付いている=お金持ち」とは限りません。実際には、部屋が多少散らかっていても、ビジネスで成功し、きちんと資産を築いている人も少なくありません。
例えば、仕事への集中力が非常に高く、細かいことに気を取られずに成果を出すタイプの人。そうした人は、部屋の整理整頓よりも、自分のやるべきことに意識を集中させる傾向があるため、周囲の散らかりがそれほど気にならないのかもしれません。
これは、職場のデスクにも言えることです。
一般的に「仕事ができる人は机の上もスッキリしている」と言われがちですが、実際には、ある程度モノが出しっぱなしでも、きちんと成果を出している人もいます。
ぱっと見は「散らかっているな……」と思う状態でも、本人にとっては必要なモノが手元にそろっていて、効率的に動ける環境になっている場合もあります。
つまり、必ずしも「キレイ=できる人」というわけではなく、本人がどれだけ集中できているか、判断力を発揮できているかが大切なのです。
営業の現場で見た「お金持ちのリアルな住まい」
筆者は以前、営業の仕事でさまざまな「お金持ち」と呼ばれる方のご自宅を訪問する機会がありました。もちろん、玄関まわりや居間、お庭などがスッキリ整っていて、清潔感のあるお宅もたくさんありました。いかにも「丁寧な暮らし」をしている印象で、住まいからその人柄が感じられるようなケースも少なくありませんでした。
ただ一方で、「あれ? 意外と普通かも……」と感じるような、生活感のあるお宅もありました。家が広くその分モノが多いこともあり「片付け途中かな?」と感じることも。スッキリピカピカというわけではありませんでした。
ですが、そういった空間にも、ある「共通点」がありました。
それは、「無秩序ではない」ということ。
例えば、書類が多くても「本人なりの管理ルール」があって、どこに何があるのかちゃんと把握できている。つまり、見た目には少し散らかっていても、本人にとっては機能的で、混沌とした状態ではないのです。
自分の空間をどう使いこなしているかは、その人の「暮らし方」や「考え方」が表れているのだなと思ったものでした。
じゃあ、どうすればいい?
では、「これからお金持ちになりたい普通の人」は、どう考えたらよいのでしょうか?答えはシンプル。
集中力に自信がない、または家の環境が気になってしまう人は、やっぱりスッキリさせておいたほうが無難です。
片付いた空間は、ムダ遣いを防ぎ、気持ちを前向きにし、行動にもいい影響を与えてくれます。掃除や整理整頓は、お金をかけずにできる「最強の開運法」とも言えるのです。
整った空間は「豊かさ」を呼び込む
「お金持ちはスッキリした部屋に住んでいる」というのは、よく聞く話ですが、必ずしも全員がそうというわけではありません。とはいえ、多くの人にとって、整った空間が心や暮らしによい影響を与えるのは確かです。「住まいを整えることは、自分の心を整えること」になります。できるところから整理整頓に取り組んでみてはどうでしょう。