「熟年離婚」は、結婚生活が20年以上の夫婦による離婚を指しますが、特に結婚生活が30年以上になる夫婦の離婚は1985年から2004年で約4倍にも増えたとされています。
かつては、夫の定年退職をきっかけに、妻から切り出すことの多かった熟年離婚。最近は「長年連れ添った夫から『別れてほしい』と言われた」という妻側からの相談も増えています。
熟年離婚に踏み切る理由はさまざまですが、「もう妻には耐えられない」「これ以上、妻とはやっていけない」と感じた夫たちは、妻のどんな言動に悩んでいたのでしょうか。今回は、夫たちに聞いた「熟年離婚を決めた妻のひと言」を紹介します。
<目次>
ケース1「〇〇さんの旦那さんはもっと~」で離婚を決意
「〇〇さんの旦那さんはもっと家事を手伝ってくれるんだって」「〇〇さんの奥さんがうらやましいわ」というような、他の誰かの夫と比べる妻の発言は男性のプライドを著しく傷つけるものです。妻には「ウチの夫も〇〇さんの旦那さんみたいにもっと頑張ってほしい」という自分の夫に期待する気持ちからの発言だったとしても、夫からすれば「よその旦那がいいなら、そっちに行けば?」と妻から心が離れていくようです。とにかく比較は禁物です。
ケース2「あなたの稼ぎが悪いから」で離婚を決意
収入に関する不満や批判も、夫たちが離婚を考えるほど彼らのプライドを激しく傷つけます。結婚前や新婚時代は口にしなかった言葉も、結婚生活が長くなるにつれて平気で言えるようになるものですが、決していいことばかりではありません。特に、夫の収入に関することや親兄弟に関するネガティブな発言はタブーといってもいいでしょう。
「あなたの稼ぎが悪いから」という責めるような言い方は、夫を追い詰めてしまうだけです。もしも、経済的な不安をどうしても夫に伝えたいなら「これからの生活もお金の不安がゼロじゃないでしょう? でも、私たち2人ならどうにかなると思いたいの」といった「夫の問題」ではなく「私たち夫婦の問題」というスタンスで臨むのがベターでしょう。
ケース3「いつも〇〇してばかりよね……」で離婚を決意
「休日はいつも寝てばかりね」「いつも仕事ばかりで私たち家族のことなんて考えてくれなかったわね」といった、「私のことはどうでもいいのね」という妻の不満は、夫にとっては嫌味にしか聞こえません。これまで長年家族のために頑張って働いてきたつもりの夫は、「こんな嫌味を言う妻のいる家庭ではくつろげないな」と感じるものです。まずは妻の側も、「平日の疲れを癒すのは休日しかないんだな」「仕事熱心だったから今の生活があるんだな」と気付くことが先決。そして、「あなたが頑張ってくれているのは、私もちゃんと分かっているよ。いつもありがとう」と信頼と感謝の気持ちを伝えましょう。
夫へのリクエストを出すのは、その後です。
ケース4「私だって疲れているのよ!」で離婚を決意
「そこのリモコン取ってよ」「部屋の片付け、ちゃんとやってくれない?」などと夫から言われた時、「私だって疲れているのよ!」「それくらい自分でやれば?」などときつい口調で切り返していませんか?妻からの厳しい切り返しが続くのは、夫にとって苦痛でしかありません。やがて「この家に自分の居場所はないな」「こんな毎日ならひとりで暮らした方がいいな」と結婚生活を終わらせる考えもよぎるようになっていくのです。
「私も疲れているからいろいろ言っちゃうけれど、あなただって疲れているのは同じよね。互いに協力しないとね」というニュアンスで、少しだけ本音をにじませながら要望をやわらかく伝えましょう。
ケース5「私は悪くないわよ」で離婚を決意
夫婦間で言い合いになることがあった時、「私は悪くないわよ」「悪いのはあなたでしょ?」などと、かたくなに謝らない妻は意外といるようです。夫婦間の言い合いは、どちらかに100%非があるとは断言できないことが多いもの。だとしたら、いつも言い合いの原因を追及して勝敗を競うような戦闘態勢の妻は、長年暮らしていくうちにいつしか夫から疎まれる存在になることもあるのかもしれません。
賢い妻の実例としてこんなケースがありました。
夫のお気に入りのキャップがボロボロになっていたのを見た妻が夫に無断で捨ててしまい、後から大げんかに発展。妻には「ありえないほど汚くて不潔だから」という言い分があったものの、捨ててしまったのは事実なので夫に謝罪することにしました。
ただ、謝る時に「あなたにはいつも清潔感のあるカッコいい夫でいてほしかったの」と伝えたところ、それまで憤っていた夫の機嫌がよくなったとか。この夫婦は結婚生活30年以上たった今でも円満に暮らしています。
相手を「責めずに」「穏やかに」本音を伝える
熟年離婚を避けるには、日常生活のなかに小さなコツがたくさんあります。例えば「相手を責めず、でも自分の言いたいことを伝える」「夫婦の信頼関係を壊さず、でも互いの尊厳を保つ」というようなことです。円満な関係を続けるための基本は、やはりコミュニケーションです。いつでもハートフルな伝え方を心掛けましょう。
<参考>
・「『熟年離婚』の割合が過去最高に 長寿社会、役職定年も背景に」(朝日新聞)