Q:1957年2月生まれの女性です。そろそろ退職を考えておりますが、特別支給の老齢厚生年金を請求することはできますか?
「1957年2月生まれの女性です。現在も仕事をしており厚生年金も継続中です。そろそろ退職を考えておりますが、給与より少ない年金で生活できるか不安です。私は特別支給の老齢厚生年金を今後請求することはできますか? 60歳からは40%カットされた給与36万円なので、年金を繰り下げております」(籐式部さん)
今後、特別支給の老齢厚生年金を請求できる?
A:今からでも特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の請求は可能です。ただし(相談者の場合)時効が始まっており、すぐに請求すれば約2年分の年金額を一時金として受け取れます
籐式部さんは、退職をご検討なのですね。籐式部さんの特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)は、2017年の60歳から2021年の64歳まで受給になっていました。今からでも請求は可能ですが……。
ただし、65歳からの老齢厚生年金とは異なり、特別支給の老齢厚生年金には繰り下げ制度がありません。年金の請求をせず5年を過ぎると、法律に基づき、5年を過ぎた分の年金は時効により受け取れなくなります。籐式部さんの場合、すでに時効が始まっており、すぐに請求すれば約2年分の年金額が一時金として受け取れます。
さらに、特別支給の老齢厚生年金は、在職老齢年金として支給停止となった分の金額は受給できません。籐式部さんの場合、60歳からの給与が36万円ですので、特別支給の老齢厚生年金が全額もしくは一部支給停止になっていた可能性があります。その場合、支給停止された分の金額はさかのぼって請求しても受給することはできません。
いずれにしても年金の時効が始まっていますので、早めに年金事務所に相談しましょう。
また、セカンドライフの生活費について不安を持っておられるようですね。準備の手順をご紹介します。参考にしてみてください。
①退職後の収入と支出を見積もってみましょう。老齢年金の受給額は、ねんきんネットで簡単に調べられますので活用してください。
②支出の見直しをしましょう。サブスクリプションサービスなど利用していないものや不要な支出から無理のない程度に行うのがコツです。
③資産やローンなどの負債の現状を把握し、整理しましょう。
④退職後にしたいことなども忘れずに書き出し、優先順位とスケジュールを決めて取り組んでいくとよいでしょう。
セカンドライフの準備は待ったなしです。気になった時が始め時です。できることから少しずつ始めていくことをお勧めします。
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執筆・監修/京極 佐和野(きょうごく さわの)さん
FPオフィス ミラボ代表、日本FP協会認定 CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、国家資格キャリアコンサルタント、JCDA認定CDAの資格を持ち、マネープランと働き方の両面から「稼ぐ・使う・借りる・貯める・増やす」をアドバイス。ファイナンシャル・プランの提案・実行支援に20年以上従事。FP向け継続研修、社員向けライフプラン・キャリアデザイン研修講師として活動する傍らJ-FLEC(金融経済教育推進機構)認定アドバイザーとして携わる。