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夫のモラハラに気づかない妻たち
「殴る」「蹴る」といった身体的な暴力は決して容認できないものの、軽視できないのは言葉による暴力です。手をあげることができない分、ストレスの矛先を妻に向けて暴言を浴びせるモラハラ夫は少なくありません。ですが、言葉による暴力も立派なDVなのです。問題なのは、案外、妻がそこに気づいていないこと。つまり、冒頭の妻たちのセリフのように、自分のパートナーが「モラハラ夫」だと思っていないのです。モラハラは自然に治ることはありませんから、夫からの仕打ちがモラハラであると妻が気づかない限り、状況を改善することはほぼ不可能です。
まずは現状を振り返って、自分のパートナーがモラハラ夫かどうかセルフチェックしてみましょう。見極めるポイントは「夫の言葉」です。次のうちの1つでも当てはまれば、モラハラ夫の可能性は大いにあり。今のうちに対策を立てる必要があるでしょう。
定番フレーズ1「誰のおかげで……」
モラハラ夫の定番フレーズがこちら。夫婦の収入のほとんどを夫が得ていたとしても、いつだって夫婦関係は対等。「夫のおかげ」で結婚生活が成り立っているわけではありません。妻の支えなくしては、夫も自分の仕事に集中できないはず。たとえ「稼ぐ夫」と離婚をする場合も、夫婦で築いた財産の半分は妻のものになります。
定番フレーズ2「お前はいいよな」
「お前は気楽でいいよな」「お前がうらやましい」といった夫の発言も、妻を軽んじているサインです。家事や育児はもちろん、仕事をしている妻も、それぞれの立場や役割で責任とプレッシャーはあるもの。それを理解しようとせず、自分だけが大変な思いをして頑張っていると勘違いしているのはモラハラ夫です。定番フレーズ3「〇〇失格じゃない?」
「それって、母親失格だろ?」「そんなんじゃ妻として失格だな」といったフレーズも、モラハラ夫にありがちな発言です。母親や妻の役割を夫自身はできないというのに、妻にリスペクトの気持ちを抱こうとせず、むしろバカにするような気持ちが表れているからです。定番フレーズ4「オレは悪くない」
「オレは間違っていないから」「オレは悪くないよ」などと自分の正当性だけを押しつけてくるのもモラハラ夫の特徴です。大事なのは、「正しいか、間違っているか」「誰に責任があるか」ということより「なぜ、そうなったのか」「どうして、そう思ったのか」を考え、相手の立場も考慮しながら、夫婦で一緒に解決しようとする姿勢です。番外編「平気でうそをつく」
発言の内容は人によってさまざまですが、平気でうそをつくのはモラハラ夫に共通する言動です。私の経験上、モラハラが日常的になっている人は、多くの場合「外ヅラがとてもいい」という特徴が見受けられます。実際の自分以上に「いい人だと思われたい」「すごい人だと認められたい」といったプライドが勝り、平気でうそをつくようになるもの。その結果、現実と嘘の理想のギャップによって生じたストレスが、家庭でのモラハラにつながっているようです。
モラハラの現状に気付くことが問題解決の出発点
モラハラ夫が恐ろしいのは、一緒に暮らすうちに長い時間をかけて妻の自己肯定感を下げていく点にもあります。挙句、「夫の言っていることは正しくて、悪いのは私の方かもしれない」「なんだかんだ夫の言うことをきいていれば間違いないのかも」などと思い込み、本当の自分の気持ちにふたをし続けることは、自分の人生の幸せを諦めてしまっていることと同じです。心がすさめば、やがて体にも影響を及ぼしかねないでしょう。
自分自身の体と心を守るためにも、パートナーがモラハラ夫だと自覚すること。そして次にすべきは、夫自身に自分がしていることが妻へのモラハラであることに気づいてもらうことです。そのためには「両親や兄弟、親しい友人や先輩など夫の認める人から夫にモラハラを指摘してもらうよう依頼する」「一時的な別居を試み、その理由がモラハラによるものだと夫に伝える」「夫婦問題のプロに実情を相談し、問題解決に向けた適切なアプローチを考える」という方法もあります。
いずれにしても、モラハラ夫に目をつぶったり、すぐに離婚を切り出したりするのではなく、まずは自分らしく生きていくための最善策を探っていくこと。それが幸せにつながるのは間違いありません。