“こだわり”を意識したフロー&シグニチャーモデル
「フローモデルは、素材感にこだわりたいとか、自分が持っているものへのこだわりといった方向の製品として作りました。持ったときの重量感や金属の質感を楽しんでもらうためにも、デザインはベーシックモデルに合わせていますが、ラバーグリップはありません。また、アルマイト加工の透明感のある仕上げを施しました」と板津さん。実は、筆者は写真でこのフローモデルを見たとき、スタンダードモデルの金属軸タイプとしか思えずあまり評価していなかったのですが、実物を持って書いてみると、想像以上にカッコよくて驚きました。ツートンのカラーで上下の質感も微妙に変えてあるなど、仕上げが繊細なのが効いていると思いました。 「三菱鉛筆が達成したいビジョンとして、書いたときに少しでも心地よい体験してもらえたらうれしいと思って製品を作っているのですが、その、『日常』から『ちょっとうれしい時間』へ切り替わるスイッチのような働きを持つ動作として“キャップ”を採用したのが、シグニチャーモデルです。カチッとキャップを外して、尻軸にカチッとはめる行為が、『これからZENTOを使う』という儀式のような感じになるといいかなと。
このモデルを購入してこだわって使う方には、恐らく使いやすいとか便利とか、性能のようなところではなくて、ちょっとしたルーティン的な行為自体を好きになってもらえるのではないかと思ったんです」と板津さんは、シグニチャーモデルへの思いを話してくれました。 実際、このシグニチャーモデルはカッコいいのです。この記事を執筆している時点では、全く手に入りませんでした。他のモデルはわずかながら探せば見つかったのですが、このモデルは筆者も三菱鉛筆さんで見せてもらうのが初めてでした。
3300円という価格にもかかわらず、しかもキャップ式のボールペンなのに、それだけの人気商品になっています。少し短い軸だったり、仕上げの美しさだったり、持ったときのなじみやすさだったり、確かに、持っていたいと思わせるペンでした。 実は「ZENTO」シリーズのリフィルは、「uni-ball one」シリーズのリフィルと同じサイズなのですが、メーカーとしては互換性を意識して作ったのではないそうです。これは偶然似たサイズになっただけで、相互に交換して使うこともメーカーとしては推奨しないとのことでした。
ともあれ、2025年に水性ボールペンが改めて大ヒットしているという事実は、水性ボールペンのファンとして、とてもうれしいことです。せっかくなら、LAMY safariのローラーボール用に、このインクを使ったリフィルを出してくれないかなと妄想したりしてしまいます。