男のこだわりグッズ

ネガティブな印象を払拭し大ヒット!三菱鉛筆が“あえて”挑戦した水性ボールペン「ZENTO」の開発秘話(4ページ目)

三菱鉛筆の「ZENTO」シリーズは、新開発の水性インクを搭載した、「書く」という時間を大切にしている人のためのボールペンです。久しぶりに“水性ボールペン”として大ヒットとなった製品の開発の裏側をお聞きしました。

納富 廉邦

執筆者:納富 廉邦

男のこだわりグッズガイド

“こだわり”を意識したフロー&シグニチャーモデル

フロー・モデル、イメージ写真

フローモデルは金属軸の質感を目でも触り心地でも味わえるように、グリップをなくし、美しいアルマイト処理で仕上げたタイプ

「フローモデルは、素材感にこだわりたいとか、自分が持っているものへのこだわりといった方向の製品として作りました。持ったときの重量感や金属の質感を楽しんでもらうためにも、デザインはベーシックモデルに合わせていますが、ラバーグリップはありません。また、アルマイト加工の透明感のある仕上げを施しました」と板津さん。

実は、筆者は写真でこのフローモデルを見たとき、スタンダードモデルの金属軸タイプとしか思えずあまり評価していなかったのですが、実物を持って書いてみると、想像以上にカッコよくて驚きました。ツートンのカラーで上下の質感も微妙に変えてあるなど、仕上げが繊細なのが効いていると思いました。
シグニチャー・モデルのイメージ写真

シグニチャーモデルは、シリーズ唯一のキャップ式。マグネットでカチッと留まる着脱の感触が心地いい。短めの軸とキャップのバランスも良く、手にした時に喜びを感じられるペンになっている

「三菱鉛筆が達成したいビジョンとして、書いたときに少しでも心地よい体験してもらえたらうれしいと思って製品を作っているのですが、その、『日常』から『ちょっとうれしい時間』へ切り替わるスイッチのような働きを持つ動作として“キャップ”を採用したのが、シグニチャーモデルです。カチッとキャップを外して、尻軸にカチッとはめる行為が、『これからZENTOを使う』という儀式のような感じになるといいかなと。

このモデルを購入してこだわって使う方には、恐らく使いやすいとか便利とか、性能のようなところではなくて、ちょっとしたルーティン的な行為自体を好きになってもらえるのではないかと思ったんです」と板津さんは、シグニチャーモデルへの思いを話してくれました。
シグニチャー・モデルの筆記例

シグニチャーモデルを手にした感じが伝わるだろうか。手のモデルは開発担当の板津さん

実際、このシグニチャーモデルはカッコいいのです。この記事を執筆している時点では、全く手に入りませんでした。他のモデルはわずかながら探せば見つかったのですが、このモデルは筆者も三菱鉛筆さんで見せてもらうのが初めてでした。

3300円という価格にもかかわらず、しかもキャップ式のボールペンなのに、それだけの人気商品になっています。少し短い軸だったり、仕上げの美しさだったり、持ったときのなじみやすさだったり、確かに、持っていたいと思わせるペンでした。
リフィルは、0.5mm、0.38mm共に黒、赤、青の3色を用意。価格は各132円(税込)

リフィルは、0.5mm、0.38mm共に黒、赤、青の3色を用意。価格は各132円(税込)

実は「ZENTO」シリーズのリフィルは、「uni-ball one」シリーズのリフィルと同じサイズなのですが、メーカーとしては互換性を意識して作ったのではないそうです。これは偶然似たサイズになっただけで、相互に交換して使うこともメーカーとしては推奨しないとのことでした。

ともあれ、2025年に水性ボールペンが改めて大ヒットしているという事実は、水性ボールペンのファンとして、とてもうれしいことです。せっかくなら、LAMY safariのローラーボール用に、このインクを使ったリフィルを出してくれないかなと妄想したりしてしまいます。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます