ユーザーそれぞれの「心地よさ」に寄り添うためのラインアップ
「今、会社全体で『2036年にありたい姿』を策定していて、世界一の表現革新カンパニーにしていこうと目標を掲げているんです。書くことで表現することの喜びを実感してもらえる、その価値を皆さまに提供していきたいというのが私たちの目標でもあり、そのような中で開発が進んでいったプロセスの1つがこの商品という形になったのだと思います。ある意味、象徴的なアプローチになったのではないでしょうか」という板津さんの言葉は、「ZENTO」に4種類のモデルがあることの説明にもなっています。 書くことの喜びを感じるシチュエーションは人それぞれですし、1つの筆記具で達成できるようなものではありません。その意味では、今回価格的には3300円(シグニチャーモデル)、1100円(フローモデル)、275円(ベーシック&スタンダードモデル)と差がついていますが、高価になればなるほど体験が豊かになるようなものではありません。使う人それぞれのこだわりや気分に合う製品を、その都度選べるようにという三菱鉛筆の配慮でもあるのでしょう。 「あえて、4つの中からメインを選ぶなら、スタンダードモデルかもしれません。例えば、このペンはラバーグリップが弊社の製品の中でもかなり長くなっていて、ペンの先端までカバーする構造となっています。これは、多くのユーザーに接してきて、ペンを持つ位置が本当に人それぞれであることを感じていたから生まれたデザインです。自分の持ち方で握れないと、それだけでストレスになると考えたんです。ノックするときにノックボタンの角が当たって痛いのもストレスにつながるかもしれないのでボタンの角を丸くしていたりと、“使用時のストレス”をとにかく減らすように作っています」と板津さん。実際、このスタンダードとベーシックモデルを握ったときの、抵抗のなさというか、自然に手になじむ感じは、軸の軽さもあってスムーズに筆記態勢に入れます。
一方で、もう少しプロダクトとしてのペンの質感を求める人や、特定のシーンでこだわりを感じられるペンを使いたい人のためのペンをということで出てきたのが、フローモデルとシグニチャーモデルなのだそうです。
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