Q. これまでに“お金を使ってよかった”と思ったのは、どんなときですか?
「桐谷さんがこれまでの人生で、生きたお金の使い方をしたのは、どんなときでしたか?“お金を使ってよかった”と思えたことを教えてください」(こぶたさん/56歳)A. 「妹への仕送りや奨学金の返済にお金を使ったことですね」(桐谷さん)
私には3人の妹がいるのですが、2番目の妹が大学に合格し、大阪で暮らすことになりました。当時、実家には経済的な余裕がなく、私自身もプロ棋士を目指して修行中で、アルバイトをしながら生計を立てていました。私は東京で暮らしていましたが、2万円が貯まるたびに現金書留で妹に送っていました。今なら銀行のサービスを利用すれば無料で送れますが、当時は切手をたくさん貼って送っていたのです。
妹は広島の病院から奨学金を受けていたため、卒業後は広島で就職する予定でした。しかし、どうやら大阪に残りたい様子で……。奨学金はそれなりの額でしたが、ちょうどその頃、私はプロ棋士になり、奨学金と同程度の金額を貯めることができていました。
そこで広島まで行き、妹の奨学金を一括返済することで、広島での就職を免除してもらうよう交渉しました。その結果、妹は希望通り大阪の大学病院に就職することができたのです。今振り返ると、これが私にとって一番生きたお金の使い方だったと思います。
後にリーマン・ショックで私が困窮した際、妹がお金を貸してくれました。そのおかげで命拾いすることができました。そのときは深く考えませんでしたが、なぜ妹が助けてくれたのかを振り返ると、「昔、私が妹を支えたからこそ、今度は妹が私を支えてくれたのかもしれない」と思うのです。
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教えてくれたのは……桐谷広人さん
1949年広島県出身。将棋棋士・投資家。日本テレビ系バラエティ番組『月曜から夜ふかし』に出演し、現金を使わない「株主優待生活」が話題になった。現在はテレビや講演会、雑誌などで幅広く活躍。『日経マネー』(日経BPマーケティング)、『ダイヤモンドZAi(ザイ)』(ダイヤモンド社)で連載中。
※紹介している内容は、2025年1月8日に収録した動画から、一部抜粋して編集したものになります。