携帯電話の契約は原則「契約者本人」
携帯電話の手続きを行う際、必ず「契約者、ご本人様ですか?」と確認された経験があると思います。例えば料金プランを変更したいとき、オプションサービスの申し込みや解約を行うとき、機種変更を行うときなど、携帯電話に関わるすべての手続きは、原則「契約者本人でなければ手続きが行えない」決まりになっています。
子どもの携帯電話ですが、契約時に「子どもの名義で契約できない年齢だった」「書類が不足していて、親の名義で契約した」など、子どもが使っているものの親の名義で契約しているケースは多く存在します。
そのため子どもが独り立ちした後、もし契約名義が親のままだと、携帯電話に関する手続きを行おうとすると「契約者本人ではないので手続きができない」と断られてしまうのです。
名義人が違うと修理もできない?
子どもが独り立ちした後でも、料金は親が払い続ける場合などは「親名義のままでもいい」と考えてしまいますが、何か特別な事情がない限りは名義を子どもに変更した方がいいでしょう。例えば「携帯電話が故障し、修理に出すとき」や「保証サービスを利用するとき」にも、契約名義が親になっていることで「契約者本人ではない」となり、手続きを行うことができません。
親からすれば子どもと連絡を取り合うために持たせた携帯電話であり、独り立ちをした後でも役割としては変わりはないかと思います。
が、携帯電話が故障するようなトラブルに遭った場合に、これを解決しようにも手続きもできない、親に連絡しようにも連絡する携帯電話も使えないと、完全に八方塞がりになってしまいます。また修理や保証の利用ではなく、機種変更を行うにも親名義の契約のままでは子どもは機種変更もできません。
他社に同じ電話番号を引き継いで乗りかえるナンバーポータビリティも、乗り換え元と乗り換え先で名義が同じでないといけないため、親名義のままでは子どもは乗り換え手続きも行えません。
おトクなセット割も盲点に
携帯電話には、例えば「家のネット回線とのセット割引」のようなサービスが用意されています。独り立ちした後、子どもも大人になりますから、自分に合ったネット回線などのサービスを選んで自分で契約することが出てきます。その際に、携帯電話とネット回線の名義が異なるとセット割引が利用できないことがあります。
他にもクレジットカードやポイントサービス、決済機能(QRコードやバーコードでの支払い)も名義が異なることでおトクなサービスを受けられないこともあります。
子どもが独り立ち→契約も独り立ち
意外と見落としがちな携帯電話の契約名義ですが、今回ご紹介した通り、独り立ちする子どもの名義での契約になっていないと、意外と不便が発生することが伝わりましたでしょうか。筆者は長らく携帯電話の販売に関わってきましたが、手続きを進めていくと「親の名義だったので、手続きができない」と断った経験が、意外と多くありました。
昔は携帯電話の手続きも寛容で「契約者に電話でつながれば手続きを進めていい」ようなこともあったのですが、近年は不正契約の防止の観点から、契約者本人の来店でなければ一切手続きを行えないよう厳格化もされています。
また「委任状」のように契約者以外でも手続きを行えるようにする方法もありますが、これも「契約者本人の確認書類の原本の提示が必要」になる手続きもあり、親の免許証やマイナンバーカードを離れて暮らす子どもに郵送するのもあまり現実的ではありません。
子どもの独り立ちにあわせ、契約名義の確認を行い、もし親の名義での契約になっていたら子どもの名義での契約に変更をする、契約の独り立ちも行うようにしましょう。
【この記事の筆者:迎 悟】
家電量販店やキャリアショップなど、多数のチャネルで携帯電話販売の最前線に10年近く従事。その経験をもとに、現在はフリーランスライター・ブロガーとして活動している。携帯電話販売の現場インタビューや契約・使い方のハウツーを中心に、さまざまな媒体で執筆中。