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世界恐慌、どんな心持ちで備える?

YouTubeなどで「世界恐慌が来る!」という論調を見かけます。筆者は「目下、日本株に恐慌の兆候は見られない」と考えていますが、備えあれば憂いなしとも言います。本記事では、仮に恐慌が訪れるとして、どのように備えるのがよいか考えていきます。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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世界恐慌にどう備える?

世界恐慌にどう備える?

先日、読者より以下の質問が届きました。

「そろそろ株高から加速的に下落する局面に入っていくのではないか(世界恐慌が始まるのではないか)?と分析する経済アナリストもいる中で、過去の事例も含めて、奈落に落ちるかのような下落局面を、どのような心持ち(投資手法)で待ち構えていれば良いか?」(40代・女性)

さいきん、You Tubeなどでは「世界恐慌が来る!」などの極端な論調が目立ちます。

筆者は「目下、日本株に恐慌が起きる兆候は見られない」と考えていますが、備えあれば憂いなしとも言います。そこで本記事では、仮に世界恐慌が訪れるとして、どのように備えるのがよいか考えていきます。

世界恐慌、2つの共通点

先述したとおり、筆者は「いまの日本株に、恐慌に陥る兆しは見られない」と考えています。

過去の株価暴落を見てみると、多くの暴落には2つの共通点があります。

恐慌の1つ目の共通点は株価が「バブル」水準であることです。

例えば、2000年にITバブルが崩壊したとき、米国株価指数の益回りは、米国債金利と同じくらいの水準でした。

株式投資の利回りは、短期では益回りに近づいていく傾向があります。株式の益回りが国債金利よりも低いということは、「リスクをとって株を買うより、リスクの小さな国債を買うほうが利回りがよい」ということであり、極めて不自然です。

1990年に日本株バブルがはじけたときも、日本株の指数の益回りが銀行の預金金利よりも低かったです。「リスクを取って株を買うより、銀行にお金を預けておくほうが利回りがよい」ということですから、これも異常でした。

恐慌の2つ目の共通点は「供給過剰」です。

バブル崩壊後の日本経済や、最近の中国景気がよい例ですが、「いらないものをたくさん作って業績をカサ増しする」と、その反動が来るものです。

足元では中国が不動産における供給過剰の根が深く、かつての日本株バブル崩壊以降のように、不況が長く続くのではないか、と筆者は懸念しています。

「バブル」と「供給過剰」。この2つが重なり合わさった後には、大きな不景気が訪れやすいです。

筆者の見解では、米国株は「バブル水準に近い」、中国株は「供給過剰が目立つ」と黄色信号だと思う一方、日本株は問題ないだろうと感じています。

もしも、世界恐慌が来たら?

ここで、イメージトレーニングをしてみましょう。

ご質問者さまが心配しているように「世界恐慌」が訪れるとして、どのように対処するのがよいでしょうか?

先にも述べたように、世界恐慌の原因は「バブル」と「供給過剰」です。ですから、これらによる被害を小さく抑えるには、(1)バブルと言えるくらい割高な資産を売却する、(2)供給過剰なものを持たない、という2点を意識するとよいでしょう。

(1)手持ち資産がバブル水準か評価するシンプルな基準としては、「益回りが国債金利や預金金利を下回る投資商品=バブル」と考える方法があります。

成長株の場合は益回りが低くても買われる場合がありますが、よほどの確証がないかぎりは益回りの低い株は触らないほうがよいと思います。

(2)供給過剰なものに気付く方法としては、日頃からニュースに目を通し、いま、世の中で売れ残っていたり、値下げされているものに、どんなものがあるか気を配るのがよいでしょう。

最近では、中国で景気低迷・需要低迷が見られるので、売上構成比率が高い中国企業は避けておいたほうがよいかもしれません。

株価のバブルは数年続くことはありますので、(1)(2)を実践すると、バブルの間は儲け損ねてしまうでしょう。

「向こう見ずな投機をしている人のほうが、賢明な投資をしている人よりも儲かる」のを見るのは、快いものではありません。しかし、異常な相場はどこかで調整されていくものです。

周りの人々が浮かれているときほど、わたしたちは慎重に振る舞いたいものですね。
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