金にも投資すべき?
「金価格が高騰中ですが、やはりリスク資産として投資対象にすべきでしょうか?」
最近、ロシアや中国の中央銀行がゴールド(純金)を買い増しており、ゴールド価格が高騰しています。
本記事では、個人投資家である筆者の視点から、ゴールド投資の魅力と弱点について考えていきます。
ゴールド投資の魅力
World Gold Councilが公開した「戦略的資産としての金の重要性」という資料によれば、純金の価格は1971年から2021年までで年複利7.90%のペースで値上がりしました。ゴールド投資の魅力は、何といっても「価値が薄れにくい」ことでしょう。
ゴールドは宝飾品としても人気がありますし、貨幣のように自由に印刷することができません。また、劣化しにくい金属ですから、時間と共に価値がなくなる心配もありません。
経験則として、ゴールドは株式や不動産、債券とは値動きが連動しにくいです。分散投資の対象として「現金の代わりにすこし持っておく」のはアリかと思います。
ゴールド投資の弱点
とはいえ、足下ではゴールドの価格が上がっています。しかし「買うべきか?」と問われれば、筆者はいまは買っていないし、敬遠していますと答えます。筆者がゴールドを敬遠する理由は、ゴールド自体が収入を生み出すことはないからです。
例えば、いまアメリカ国債の金利は4%ありますから、投資をすれば、為替リスクはありますが年4%の収入につながります。
あるいは、日本の不動産投資信託(REIT)の分配金利回りは5%くらいですから、こちらに投資すれば年5%の収入です。
一方、ゴールドに投資をしても「価値が薄れにくい」というだけで、利子を受け取れるわけではありません。
一般論として、リスク資産の価値の裏付けとなるのは「利子」で、利払いがどれくらい円滑に行われるか、伸びしろがあるか、で価値が決まります。
家賃収入で年100万円の利益が出そうな不動産と、年1000万円の利益が出そうな不動産なら、後者は前者よりも10倍の価値があるといえます。
ゴールドにはこの「利子という裏付け」がないですから、投機性が高い(ゼロサムゲームになる)資産と言えるでしょう。
まとめ
経験則として、ゴールドは株式や不動産、債券とは値動きが連動しにくいので、分散投資の対象としてすこし持つのもアリかと思います。とはいえ、「過去を振り返れば純金価格は右肩上がりになっているが、これからも同じように上がるとは限らない。純金には価値の裏付けとも言える『利子』がないため、投機性が高い(ゼロサムゲームになる)」というのが筆者の認識です。