一方でスマホの使用については、少し心配なデータが出ています。同社が11月5日に発表した調査結果では、 80代前半の約4割がスマホのセキュリティ対策を「何も行っていない」と回答しているほか、70~80代の約6割が自身のスマホのセキュリティ対策は「十分でない」と実感しています。 なぜそのように感じるかについては、半数のシニアが「何をどこまですれば十分なのかよく分からない」と回答。何に注意すればいいのか分からず、漠然とした不安を感じているようです。
そこで、年末年始などの帰省のタイミングでシニアのスマホユーザーと会う予定のある方には、「スマホを利用する際の注意点」を本人と一緒に確認することをおすすめします。若い世代の方にとっても、自分自身のスマホ利用について見直す機会になりますよ。
<目次>
1. 画面ロックを設定する
意外に思う人もいるかもしれませんが、スマホの画面ロック(パスワードや指紋認証、顔認証など)を設定していないシニアもいます。「すぐにスマホを開けないと不便」「スマホの中を見られても困らない」などの理由から設定したくないと考えるようです。しかし、もしスマホを落とし悪意のある人に拾われてしまったら、保存されている情報が悪用されてしまいます。連絡先の情報が流出してしまったり、家族や孫の写真がどこかに転送されてしまうかもしれません。メッセージなどから自宅を特定され、強盗などに入られる危険性もあります。
したがって、画面ロックは必ず設定するようにしましょう。顔認証や指紋認証が付いている機種なら楽にロックを解除できますので、設定しておくのがおすすめです。
■iPhone
iPhoneの場合は「設定」を開き、「Face IDとパスコード」もしくは「Touch IDとパスコード」を開き、「iPhoneのロックを解除」をオンにします。画面をスクロールすると、パスコードの設定もできます。忘れづらいパスコードを設定しておきましょう。
■Androidスマホ
Androidスマホの場合は「設定」を開き、「セキュリティとプライバシー」を開きます。「デバイスのロック解除」で「画面ロック」を選択し、パスコードなどを設定すれば完了です。
2. パスワードを使い回さないようにする
画面ロックも含め、スマホには必要なパスワードがいくつもあります。全て同じパスワードに設定してしまうと、流出した際に全てのサービスを乗っ取られてしまう可能性があります。なるべく同じパスワードは使い回さないよう、注意しておきましょう。とはいえ、サービスごとに異なるパスワードを覚えておくのは困難です。そこでおすすめなのは、紙のメモ帳に分かりやすく明記して、厳重に保管する方法です。紙のメモ帳であれば、シニアが自分でスマホの操作をしにくい状況になったとしても、すぐ家族に引き継げます。
また、スマホの設定にあるパスワード自動入力機能を利用するのもおすすめです。iPhoneの場合は「iCloudキーチェーン」、Androidスマホの場合は「Google パスワード マネージャー」を使えば、万が一スマホを紛失したときでもクラウドにパスワードを保存できて安心です。ただしこれらは慣れるまで難しく感じるシニアもいるかもしれないので、しばらくは家族で操作を見守ってあげるといいでしょう。
3. スマホのOSとアプリを最新版に保つ
「使い勝手が変わるのが嫌」「不満がないからこのままがいい」といった理由で、スマホのOSやアプリを最新版にアップデートしない人もいます。しかし、アップデートは最新機能に更新するためだけではなく、バグを直したり、セキュリティ面での向上が図られたりしているため、実行しておく必要があります。なぜアップデートをしなければならないかを説明し、最新の状態に保つようにしましょう。
■iPhone
iPhoneの場合、iOSには「自動アップデート」を設定できます。「設定」アプリの「一般」で「ソフトウェアアップデート」を開き、「自動アップデート」の項目を全てオンにします。アップデートを行うには、iPhoneが充電中でWi-Fiにつながっている必要があります。 アプリのアップデートは、「設定」アプリの「App Store」で「アプリのダウンロード」と「アプリのアップデート」をオンにしておけば、自動で実行されます。
■Androidスマホ
Androidスマホの場合は、通知が来たら「システムアップデート」でOSのアップデートを行います。 アプリのアップデートは、「Playストア」アプリで自動更新を設定できます。
4. むやみに外のWi-Fiにつながない
スーパーやレストランなど、無料で利用できるWi-Fiスポット(フリーWi-Fi)が増えてきました。しかし無料のWi-Fiスポットの中には、通信の内容を盗み取られたり、不正アクセスされたりするリスクを含んでいるものもあります。シニアの場合、どうしてもWi-Fiが必要になるケースは少ないかもしれませんが、もし外出先でWi-Fiを利用するなら「安全なWi-Fiスポットだけ」を利用するよう、話しておきましょう。
安全なWi-Fiスポットとは、キャリアや自治体、企業が提供する公衆Wi-Fiなどで、暗号化されているものです。Wi-Fiの自動接続をオフにしてしまうと、Wi-Fi環境下で使用する際に不便になってしまうためあまりおすすめできないのですが、外出先でWi-Fiにつながってしまったときはオフにできるよう、Wi-Fiを「オン」「オフ」する方法を教えておきましょう。
■iPhone
iPhoneの場合は、画面の右上から「コントロールセンター」を開き、Wi-Fiマークで「オン」「オフ」を切り替えられます。
■Androidスマホ
Androidスマホの場合は、画面上部から下にスワイプして「クイック設定」を開き、Wi-Fiマークで「オン」「オフ」を切り替えます。
5. 知らない人からかかってきた電話には出ない
スマホに電話がかかってきて出たところ、不要なサービスのセールスを受けたり、特殊詐欺などの詐欺電話を受けてしまうことがあります。最近では、国際電話で「料金未納のサービスがある」などと語る詐欺も増えてきています。シニアには、知らない人からかかってきた電話には出ないよう、あらためて注意しておくといいでしょう。本当に用事がある場合は、相手が再度かけ直してくるはずです。
アクティブに活動しているシニアの場合、企業からの電話など、知らない番号でも大事な電話がかかってくるケースもあるので、その場合は迷惑電話を自動識別するアプリを導入する手段もあります。例えば「電話帳ナビ」が提供するアプリは、迷惑電話がかかってきたときに警告してくれます。
また、iOS 18以降のiPhoneでは「ライブ留守番電話」が提供されています。ライブ留守番電話は、しばらく電話に出ないでいると、留守電に切り替わり、録音された音声をリアルタイムで文字起こししてくれます。「電話」アプリの「留守番電話」タブから確認できるので、電話を取らなくても「これはセールスだ」などと判断できます。
6. LINEの「友だち自動追加」を許可しない
LINEを使っているシニアも多いでしょう。LINEには「友だち自動追加」という機能があり、スマホのアドレス帳に登録されている電話番号のアカウントを自動でLINEの友だちに追加します。しかし、自動追加にしておくと、アドレス帳に登録した業者などもLINEの友だちに登録されてしまいます。
似たような機能に「友だちへの追加を許可」があります。これは、自分の連絡先を所有している人たちにLINEの友だち追加を許可する設定です。これをオンにしてしまうと、知らないうちに誰かのLINEに登録されてしまう可能性があります。
そこで、この2つの設定はオフにしておくことをおすすめします。オフにしても、QRコードなどを使えば友だち追加自体はできますので、その辺りも説明しておきましょう。
まとめ
シニアがスマホを利用する際に注意しておきたいポイントは以上です。もちろん、細かく挙げていけば注意点はまだありますが、一般的には上記のポイントさえ押さえておけば、安心してスマホを利用できると思います。スマホで分からないことがあっても、家族に相談しにくいと話すシニアもいます。でも、スマホを安全に使えるようになると、シニアの毎日を楽しくしてくれるだけでなく、時には身を守ってくれる大事な味方になります。年末年始などの家族で集まる機会に設定や使い方をサポートして、安全なスマホライフを楽しめるようになるといいですね。
※スマートフォンの機種やOSのバージョンによって、画面の表示内容や操作方法は異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
<参考>
・70代のスマホ所有率さらに増加し8割を超える(モバイル社会研究所)
・ご自身のスマホセキュリティ対策、70~80代の約6割が十分でない(モバイル社会研究所)