Q:私は65歳以降、月10万円ぐらい働き、年金を月20万円もらう予定ですが、年金はカットされますか?
「65歳以降に、従業員が200人いる会社でパートとして、月10万円ぐらいで働こうと思っています。強制的に厚生年金に入ることになりますか? また、私は65歳以降、年金を月20万円ぐらいもらう予定ですが、年金はカットされますか?」(60代前半)
従業員が200人いる会社で月10万円のパート予定。厚生年金に加入しなければならない? 年金はカットされる?
A:パート収入の月額と、老齢厚生年金の月額を合計しても月30万円以下であり、支給停止基準額の51万円を下回るため、老齢厚生年金が支給停止になることはありません
パートやアルバイトで働く人は、一定の要件を満たすと厚生年金に加入することになります。具体的には以下の要件を全て満たす場合です。①従業員数51人以上の企業などで働く(51人未満でも労使の合意があれば社会保険加入の対象)
②週の所定の労働時間は週20時間以上30時間未満
③所定内賃金が、月給8万8000円以上(年収106万円以上)
④2カ月を超える雇用の見込みがある
⑤学生ではない
相談者は従業員数が200人いる会社で月10万円ほどのパートをするとのことなので、週20時間以上働く場合は、厚生年金に加入する必要があると思います。念のため勤務先に確認したほうがいいでしょう。
相談者は65歳以降、月額20万円くらい年金予定とのことですが、60歳以降、年金をもらいながら厚生年金保険に加入して働いた場合には、総報酬月額相当額(年間給与等+賞与の1/12)と老齢厚生年金の基本月額(年額の老齢厚生年金の報酬比例部分を12で割ったもの)を足した金額が、支給停止基準額51万円(令和7年度)を超えると、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となります。これを在職老齢年金制度といいます。
相談者が気にかけている年金カット(支給停止)をされないようにするには、おおよその月額のパート収入と老齢厚生年金の基本月額の合計が51万円を超えなければ年金はカットされません。
相談者の場合、65歳以降、月額のパート収入と月の年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)を合計しても月30万円(月収10万円+年金は月20万円)です。このうち支給停止の対象となるのは老齢厚生年金の部分のみであり、老齢基礎年金(令和7年度の満額は月額約6万7000円)は対象外です。
仮に老齢厚生年金が月13万円とすると、支給停止判定に用いる金額は「老齢厚生年金が月13万円+パート収入など10万円=23万円」となり、51万円を超えません。つまり厚生年金に加入してもしなくても、在職老齢年金制度により年金が支給停止になることはありません。
※年金プチ相談コーナーに取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)