「間人ガニ」は、なぜ希少価値が高い?
幻の高級ブランド蟹「間人ガニ」は京都府産
その理由の1つは、「漁獲量が少ない」こと。間人ガニは京都府北部の京丹後市丹後町間人にある間人漁港で冬場に水揚げされ、その漁獲量は年間20トン程度です。
日帰り操業の小型底引網漁船5隻および限られた取引業者のみが、間人ガニに関わっています。漁場が近くて日帰り操業のために鮮度が高く、カニにしては珍しく「生食できる」のも貴重です。
最上級の“おいしさ”と特殊な生育環境
間人漁港での競りの様子。水揚げされた間人ガニが漁港に並ぶ(画像提供:京丹後市)
漁船で漁獲したばかりの間人ガニを選別する様子(画像提供:京丹後市)
2024年は11月9日に初競りが行われ、最高値はオス5匹85万円(2023年は50万円)でした。漁船5隻でオス3758杯、メス1万5943杯が水揚げされ、昨年比で漁獲量はオス約2.2倍、メス約1.5倍に増加したとのことです。
カニ漁解禁の11月6日~翌3月末がシーズン
間人ガニの殻に詰まった身は繊細で甘美な味わい。焼いてもおいしい
この間人ガニを堪能するなら、京丹後エリアにある旅館に泊まるのがおすすめ。ランチで提供する食事処もあり、京都市内などからの日帰りも可能です。
例えば、京丹後市にある宿泊施設「KISSUIEN Stay&Food」では、カニのシーズンに合わせたメニューを提供。カニ刺しやゆでカニ、カニみそ、焼きガニ、カニしゃぶ、カニ天ぷらなどがコース料理や会席料理などで堪能できます。この時期は、カニ料理とともに京丹後エリアの漁港で獲れる寒ブリやサワラなども新鮮な味わいが堪能できるのは現地ならではです。
「KISSUIEN Stay&Food」の料理長が手掛けたカニ料理の一例。天ぷらや甲羅焼をはじめ、刺し身などを地酒とともに味わえる。2024年4月にリニューアル、モダンな客室やホテル料理人が手作りする30種類以上の朝食に加え、地元食材を使うレストランなども併設されている
京丹後市にある魚屋「橘商店」は旅行客に人気の土産スポット
ズワイガニの「セコ」って何のこと?
ズワイガニのメスは「セコ」と呼ばれ、オスと違う味わいが楽しめる
さらに「白ちくわ」「さばへしこ」「ツボ羊羹(ようかん)」など、地元ならではの加工品も要チェックです。
「舞鶴かに」も旅行客に人気のブランド蟹
舞鶴漁港で水揚げされる「舞鶴かに」もブランド蟹として知名度がある
生まれてから7~8年、何度も脱皮を繰り返して成長し、身がぎっしり詰まった上質な舞鶴かには、生きたまま競りにかけられます。地元の舞鶴市内のほか、京阪神などへ出荷されます。
京都府舞鶴市にある舞鶴地方卸売市場で水揚げされたばかりの魚と競りの様子
「道の駅 舞鶴港とれとれセンター」には日本海側最大級の海鮮市場があり、舞鶴かにをはじめ旬の魚が一堂にそろう
京都は日本海の「海の幸」が集結する一大グルメスポット
京都府産ズワイガニは、すべてにQRコード付きの緑色のタグ(プレート)が取り付けられている(画像提供:京丹後市)
タグの表にはアルファベットと数字、裏にはQRコードが印字されています。QRコードを読み取り、表示されるWebサイトで番号を検索すると、水揚げ日や漁船名などが、いつでもどこでも誰でも確認できるようになりました。
タグにあるアルファベットと数字を検索すると水揚げされた日や漁船の名前などが表示される ※一部加工(All About編集部)
カニのシーズンである冬は、ブリ、冬イカ(ヤリイカ)、マガレイ(アカガレイ)など。春になるとイサザ(シロウオ)、マダイ、ハタハタなど、夏はトビウオ、マアジ、サザエ、岩ガキなど、秋はサワラ、秋イカ(アオリイカ)、アコウ(キジハタ)、ノドグロ(アカムツ)などが、それぞれ代表的な魚介類です。つまり1年を通して多彩な魚貝などを味わうことができ、しかも鮮度は地元ならでは。
中でも冬は、やはり特別な時期。温泉や絶景とともに、舌がとろけるがごとくおいしいカニ料理や数多の海の幸が待っています。
<取材協力>
「KISSUIEN Stay&Food」
住所:京都府京丹後市峰山町杉谷943
TEL:0772-62-5111
https://kissuien.jp/
「橘商店」
住所:京都府京丹後市網野町木津16
TEL:0772-74-1155
営業時間:9:00~19:00
定休日:4~6月および9・10月は水曜日、その他は不定休
https://tachibana-shouten.com/
「舞鶴地方卸売市場(一般社団法人 舞鶴市水産協会)」
住所:京都府舞鶴市字北吸1044
TEL:0773-66-1020
https://maizuru-sakana.net/
「道の駅 舞鶴港とれとれセンター」
住所:京都府舞鶴市字下福井905
TEL:0773-75-6125
営業時間:9:00~18:00
https://toretore.org/
<参考>
「海の京都 観光圏」
https://www.uminokyoto.jp/