資産運用

投資のプロが実践している「損切り」のタイミング

みなさんから寄せられたお金に関するさまざまな疑問に、ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんとマネーライターの清水京武さんが答えてくださいました。今回は「損切りするタイミング」についてです。

執筆者:All About 編集部

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みなさんから寄せられた新NISAに関するさまざまな疑問に、ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんとマネーライターの清水京武が答えてくださいました。今回は「損切りする理由やタイミングを知りたい」という方からの質問です。

Q. 損切りする理由やタイミングについて教えてください

「8月上旬の暴落時に、『狼狽売りをしてはいけない』という記事をたくさん目にしました。経済の歴史上、株価は長期的には右肩上がりで推移していることも理解できたので、株や投資信託は持ち続ければプラスになるのではないかと思っています。ただ、深野さんや清水さんは、どのような理由やタイミングで損切りを意識されているのか、教えていただきたいです」(花さん/27歳/正社員)

◾️金融資産の内訳:現金預金400万円/リスク資産50万円
 
プロが実践している損切りのタイミング

プロが実践している損切りのタイミング

 

A. 「投資先を再検討した方が良い場合や、相場全体が大きく下がった場合などでしょうか」(深野さん)

深野さん:基本的に、損切りを目的に投資をすることはまずありません。ただ、損切りをする理由としては、投資対象を間違えてしまったと気づいた場合や、資金効率を考えて他の銘柄に乗り換えて早めにリカバリーした方が良い場合、または相場全体が大きく下がり、自分の力ではどうにもならない場合などが挙げられます。

こういう時は、潔く損切りするしかないですね。利益が出ているものを先に売り、その後で損を相殺するケースもあれば、同じ日に利益確定と損切りを行う場合もあります。

あと最近では、遊び感覚でレバレッジ型ETF(※)を取引することもあります。けれど、これはあくまでも自分の相場観が正しいかどうかを試すためのもので、もし読みが外れた場合は、潔く損切りします。ただ、基本的にこうした取引は、自身の相場観や見解を確認するために、実験的に行っている感じなので、大きな損失につながることは少ないです。

※特定の指数(TOPIXや日経平均)や基準価格の変動率を、2倍や3倍といった倍率で追随するように運用される上場投資信託。短期的に大きな利益を狙えるが、その分リスクも高い商品。
 

A. 「保有する投資商品の価格が全体的に下がっている場合などは、損切りを検討することもあります」(清水さん)

清水さん:若かった頃に、あるファイナンシャルプランナーの先生から、『下落している銘柄が回復するのを待つより、新しい銘柄に切り替えて損失を取り戻したほうが、回収までの時間が短くて済む』とアドバイスをいただいたことがありました。この言葉は、今も心に残っています。

実際、相場が大きく下落しているときや、保有している投資商品の価格が全体的に下がっているときは、不安に駆られますし、何かアクションを起こさないと次に進めないと感じます。ですので、こうした場面では、ただ持ち続けるだけでなく、思い切って損切りを検討するのも一つの選択肢かもしれませんね。

◾️動画では、その他の相談も取り上げています。ぜひ併せてご覧ください!


教えてくれたのは……

深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

清水 京武さん
編集プロダクション退社後、フリーのマネーライターとなり雑誌、単行本の編集、取材、ライティングに携わる。20年以上にわたって500組以上の家計を取材し、All Aboutの人気連載企画『マネープランクリニック』の原稿も担当。
 
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