その際、60~65歳までの10~15年間で、確実にある程度の老後資金を貯めるなら、「先取り貯蓄」がおすすめです。
先取り貯蓄とは、収入から生活費を支払った後の残ったお金を貯蓄に回すのではなく、先に貯蓄分を確保して、残ったお金で生活する方法です。先取り貯蓄の目安は手取り額の「2~3割」が理想とされていますが、実際は家計の状況や目標によって変わります。今回は、50代の貯蓄割合について、確認してみましょう。
50代の年間手取り収入からの貯蓄割合は?
金融広報中央委員会による「2023(令和5)年 家計の金融行動に関する世論調査」では、単身世帯・二人以上世帯ごとに、年間手取り収入(臨時収入含む)からの貯蓄割合がまとめられています。50代の貯蓄割合をみてみましょう。●50代単身世帯の貯蓄割合
・5%未満:5.8%
・5~10%未満:10.6%
・10~15%未満:14.2%
・15~20%未満:4.4%
・20~25%未満:8%
・25~30%未満:3.1%
・30~35%未満:7.1%
・35%以上:11.9%
・貯蓄しなかった:35%
50代単身世帯の中で一番割合が高いのは、「貯蓄しなかった」の「35%」。次いで、「10~15%未満」の「14.2%」です。
先取り貯蓄の目安である2~3割は「11.1%」ですが、それよりも多い3割以上は「19%」となっています。ご参考として、50代単身世帯の貯蓄割合の平均は「14%」です。
●50代二人以上世帯の貯蓄割合
・5%未満:6.9%
・5~10%未満:15.7%
・10~15%未満:20.2%
・15~20%未満:5.2%
・20~25%未満:8.3%
・25~30%未満:1.7%
・30~35%未満:5.7%
・35%以上:8.1%
・貯蓄しなかった:28.1%
50代二人以上世帯の中で一番割合が高いのは、「貯蓄しなかった」の「28.1%」。次いで、「10~15%未満」の「20.2%」です。
先取り貯蓄の目安である2~3割は「10%」ですが、それよりも多い3割以上は「13.8%」となっています。ご参考として、50代二人以上世帯の貯蓄割合の平均は「12%」です。
単身世帯も二人以上世帯も共通して「貯蓄しなかった」が一番多く約3割前後を占めています。とはいえ、手取り額の2割以上を貯蓄している割合は、単身世帯で「30.1%」、二人以上世帯で「23.8%」ですから、3~4世帯のうち1世帯は貯蓄に取り組んでいることがわかります。
50代から先取り貯蓄を成功させるには?
50代から気持ちを引き締めて先取り貯蓄に取り組む方へ、成功させるポイントを2つご紹介します。●ポイント1:明確な目標・目的を持つ
先取り貯蓄そのものは銀行等で設定すればすぐに始められます。今まで、貯蓄の習慣がない方にとってみれば、貯蓄に回した分が使えないというのは窮屈に感じるかもしれません。途中で挫折しないよう「老後、家電の買い替えをするための貯蓄」「老後、趣味を楽しむための貯蓄」などのように目的を明確にしましょう。そうすることで、貯蓄に対するモチベーションを維持することができます。
●ポイント2:収支を正常化させる
現状、収入に対して支出が多すぎるのに、先取り貯蓄を設定してしまうと、家計費が不足して、先取り貯蓄を続けることができません。そのような場合、優先的に固定費(家賃、光熱費、通信費など)を見直し、次いで変動費(食費、娯楽費など)を予算化して管理しましょう。先取り貯蓄の前に収支を正常化させることが大切です。
まとめ
50代は、子どもの教育資金がまだ必要な場合があったり、住宅ローンの支払いがあったりなど、さまざまな事情で貯蓄を捻出するのが厳しい世帯もあるでしょう。先取り貯蓄の理想は、手取りの2~3割ですが、厳しければ1割でも大丈夫。老後の蓄えのためと目的を明確にして少しずつでも始めるようにしましょう。