今は外国株より優待のある日本株に投資を
――新NISAが始まって米国株や全世界株に投資する人が増えていますが、桐谷さんは外国株に積極的に投資することについて、どう思われますか?桐谷さん:今は円安の時期なので、米国株に投資するタイミングではないと思っています。ですので、“米国株に投資をした方がいいですか?”というような質問を受けたら、“今はやらない方がいいですよ”と答えています。
桐谷さんが米国株より優待のある日本株を選ぶのはなぜ?
少し前に、1ドルが160円くらいになっていましたが、仮にその時、米国株に投資して利益が出たとしましょう。しかし、今後円高が進み、もし10年前と同様の1ドル100円くらいに戻ってしまったら、投資で得た利益が吹っ飛んでしまうわけです。ですので、円安の時に外国株に投資すべきではないと思います。
今は、優待のある日本株に投資するのが一番安全で、利回りも高くて良いのではないでしょうか。株主優待制度は日本独自のもので、上場企業が3900社ぐらいあるうちの4割弱(1500社ぐらい)が株主優待を実施しています。やはり、“配当をもらいながら、優待ももらえる”というのが、優待株の魅力的なところです。
暴落あっても株式市場は成長し続ける
――8月初旬のような株価の大暴落があると、日本株に投資することを躊躇する人も多いと思うのですが……。桐谷さん:2024年5月時点で日本は、実質賃金が過去最長の26カ月連続のマイナスとなりました。さらに去年、家計の消費支出のうち食費が占める割合を示すエンゲル係数が、43年ぶりの高値を記録したのです。エンゲル係数は高いほど、暮らしが大変ということになりますね。
一方、一昨年の8月3日の日経新聞の朝刊に、日本で株式市場が誕生したときから、上場している銘柄を追跡調査したところ、2年前(2022年)の段階で日本株の株価は、平均して584万倍になっていると記されていました。今ですと、それ以上になっているのではないでしょうか。
こういったデータを見てみると、物価や賃金が上昇するよりも、はるかに株価は上がっていることがわかります。ですので、勤勉に働くのも大事ですけれども、蓄えたお金があったら、株式市場に投資をした方がいいと思いますね。株は2万円ぐらいで、100株買えるような銘柄がたくさんありますから。
ただし、個別株を買う場合は分散投資が必要です。複数の異なる業種やセクターの株を分散して買っておけば、仮に1つの企業の株価が下落した場合でも、他の企業の株価が安定または上昇することで、トータルではプラスになっていくことが多いです。
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教えてくれたのは……桐谷広人さん
将棋棋士・投資家。日本テレビ系バラエティ番組『月曜から夜ふかし』に出演し、現金を使わない「株主優待生活」が話題になった。現在はテレビや講演会、雑誌などで幅広く活躍。『日経マネー』(日経BPマーケティング)、『ダイヤモンドZAi(ザイ)』(ダイヤモンド社)で連載中。
※紹介している内容は、2024年8月1日に収録した動画から、一部抜粋して編集したものになります。