Q. 今後の物価上昇を踏まえ、株式の割合はどのくらいが相応でしょうか?
「物価上昇をどのレベルで想定し、今後の30年を見込むのが妥当でしょうか。また、その物価上昇率を踏まえたとき、株式の割合をどの程度まで割り当てるのが妥当でしょうか。年金生活まであと4年余りとなり、今の物価ならば現状レベルの試算で、概ね心配ないかなと思うのですが……。しかしながら、昨今の物価上昇を見るに、今後の見通しに余裕を持てないと感じています」(8008さん/男性/61歳)<家族構成>妻(57歳)
<世帯年収>390万円
<金融資産>現金預金1000万円、リスク資産3000万円
今後の物価上場を考えると、どのくらい投資に回すべき?
A. 「資産全体のリターンが物価上昇率を上回るように、資産分配を考えるとよいでしょう」(深野さん)
30年後、世の中がどれだけ変わるかを予測するのは難しいです。具体的な数値は言いづらいですが、上昇率がマイナスになることは当面ないでしょう。日銀は物価上昇率の目標を年率2%としているので、その目標以上の年率2%~2.5%くらいを想定するのが現実的だと思います。その場合、資産全体で2%以上のリターンを得られれば、物価の上昇をカバーすることができるわけです。
では、株式などのリスク資産と現預金などの安全資産をどう配分をするかを考えてみましょう。例えば、現在、保有されている現預金1000万円の利回りを0.5%とし、リスク資産3000万円を3.5%の利回りで運用することができれば、資産全体で2.75%のリターンが得られます。
<計算方法>
・現預金の利回り:1000万円×0.005=5万円
・リスク資産の利回り:3000万円×0.035=105万円
・資産全体リターン率:(5万円+105万円)÷4000万円×100=2.75%
ご年齢的なことを考えると、できれば現預金とリスク資産の割合を半々(2000万円ずつ)くらいにしておきたいところです。その場合ですと、リスク資産は4%くらいの利回りを目標にしたいところですね。ただし、4%くらいの利回りで運用するために、どのくらいリスクを取ることができるのか。こういった点も踏まえた上で、資産配分を検討してみてください。
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教えてくれたのは……深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など