Q. 定年したら再雇用で働くか、資格を活かして転職するかで迷っています
「定年後再雇用で今の会社で65歳までほどほどに過ごすか、技術士の資格があるので、他社に転職して65歳を超えても働く方が金銭的に良いか迷っています」(さくら丸さん/男性/59歳/正社員)<家族構成>妻(55歳)、長女(28歳)、次女(24歳)
<世帯年収>2000万円
<金融資産>現金預金2億円、リスク資産1億円
定年後の働き方を検討している50代男性
A. 「今後はお金のためだけでなく、ご自身が充実する働き方を考えてみては」(深野さん)
これからは、義務的に働かなくてもよいのではないでしょうか。65歳まで楽しく働きたい、65歳を過ぎても楽しく働き続けたいという方向で選択してほしいと思います。なぜこのように言うかというと、現在ご相談者には3億円の金融資産があり、そのうち5000万円ずつを2人の娘さんに残すとしても、2億円が残ります。仮に65歳まで働き、その後毎年500万円ずつ取り崩したとしても、100歳までに使い切るのは難しいでしょう。
また、例えば60歳で仕事を辞めたとしましょう。年間の支出額は1人当たり大体150万円だとしたら、4人で年間600万円になります。年金は前倒しでもらわずに、65歳まで預貯金を取り崩して生活しても金融資産は2億7000万円残ります。この場合もやはり、100歳までに使い切るのは難しいと思います。
これまでに挙げた例は、あくまでもざっくりとした計算を基にしていますが、それくらい十分な資産があるということです。こういった点も踏まえた上で、定年後の働き方やいつまで働くかを考えてみてください。
もちろん、金銭的な余裕はあった方がいいかもしれません。しかし、お金は使って初めてその価値が分かるものだと思います。ですので、金銭的なことを考えることも大事ですが、今後はこれまでに築いてきた資産をどう使うかも考えてみてください。元気なうちに、奥様や娘さんと旅行するなど、思い出作りをするのもよいのではないでしょうか。
教えてくれたのは……深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
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