歳を重ねるほどお金がかかるのはホント?
歳を重ねるほど、お金を使うことが増えると考えている方は、多いと思います。だから、リタイアするまでにお金を貯めなければと必死になったり、老後資金が足りないのではないかと不安になったりするのではないでしょうか。しかし、実際のところ60歳代以降は、歳を重ねるほどお金を使わなくなるというのが現状です。次の表は、総務省が毎年発表している家計調査報告の2023年に公表された高齢無職世帯(2人世帯以上)の1カ月の家計収支のデータになります。
■高齢無職世帯(2人世帯以上)の実収入と実支出(月額)
出典:総務省統計局「家計調査報告令和5年(2023年)平均結果の概要/単位:円
高齢無職世帯(65歳以上)の1カ月の家計の収支額が5歳刻みで示されています。オレンジ部分が実支出、緑部分が実収入です。65歳から69歳の支出額は33万6752円、70歳から74歳は30万3054円、75歳以上になると26万4367円となり、徐々に減少していることがわかります。65歳から75歳までで見てみると、大体7万円近く支出が減るのです。
60歳以降はやりたいことを我慢せずにやる
データを見てみると、年齢が上がるにつれて、お金を使わなくなることが認識いただけたと思います。ですので、もし今「歳をとったらお金が必要だから、やりたいことを我慢しよう」と考えているのであれば、先送りせずにやることをおすすめします。歳を重ねると、お金はあってもやりたいことができなくなってしまう可能性もありますから。60歳ぐらいになったら、お金を貯めることばかりではなく、お金をどう使って老後をより充実したものにするかも考えてみてください。
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お話いただいたのは……深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など