家計簿・家計管理

高齢世帯の生活費はどのくらい?老後家計の実態とは

不安のない老後を過ごすには、一体いくらお金を準備する必要があるのでしょうか。今回は、ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんに、毎年総務省が発表している「家計調査報告書」をもとに高齢世帯の家計収支の実態ついて、お話いただきました。

執筆者:All About 編集部

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安心した老後を過ごすには、いくらお金が必要なのか……不安を抱えている人は多いのではないでしょうか。そこで今回、総務省が毎年発表している家計調査報告書をもとに、ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんに、老後家計の実態についてお話いただきました。
 

高齢無職世帯の生活費はどのくらい?

5年前くらいに“老後資金2000万円問題”が話題になりましたが、この元になったのが「高齢無職世帯(2人以上世帯)の家計収支」です。総務省が家計調査報告書として毎年発表しています。

高齢無職世帯とは、世帯主が65歳以上の高齢者で無職である世帯になります。いわゆる“年金受給世代”と言ってもいいでしょう。調査報告書を見ると、年金暮らしをしている世帯の1カ月あたりの生活費(支出額)がどのくらいかがわかります。

次の表は、調査報告書をもとに2013年から2023年までのデータを一覧にしたものになります。

■高齢無職世帯(2人以上世帯)1カ月の家計収支
高齢無職世帯(2人以上の場合)の家計収支(出典:総務省)

高齢無職世帯(2人以上の場合)の家計収支(出典:総務省)【補足】実収入・実支出・月の不足額は家計調査報告書をもとにしたもので、一部四捨五入されているためずれが生じることがあります。


老後資金2000万円問題は、2017年のデータが元になっています。2017年の高齢無職世帯の収入を見てみると20万9198円。これに対して支出は26万3717円です。支出には健康保険料なども含まれています。

収支の差額が月額5万4519円になるので、年間の差額は大体65万円くらいになります。それが65歳から95歳までの30年間続いたとすると、不足額が1962万6840円となり、繰り上げて考えると老後には「2000万円が必要だ」ということになったわけです。

ちなみに、老後資金問題が話題になった2019年には、2018年のデータが公表されていたのです。2018年のデータを見ていただくと、前年より460万円減って1507万円3920円となっています。ですので、“老後2000万円問題”とは言えないですよね(笑)。
 

公表データはあくまでも参考程度に

2020年から2022年までの三年間は、コロナ禍という異常事態だったので、この期間は省いてデータを見てみましょう。そうすると、30年間の不足額が最も多いのは2015年の2243万円、不足額が最も少ないのは2019年の1165万円になります。2015年と2019年で比較すると、30年間の不足額に1000万円も差があることがわかります。

ですので、こういったデータはあくまでも参考値であって、何が正解かはわかりません。実際、老後2000万円では足りないという人もいれば、2000万円も必要ないという人もいるわけですから。過度に老後不安を抱えないためにも、数字に惑わされないことが大事だと思います。


【動画】深野先生のお話をもっと聞いてみたい方は、動画も併せてご覧ください。

お話いただいたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
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