筆者自身もそのうちの1人で、異国の地でときには悩み、ときには大いなる喜びを感じつつ子育てをしている。
今日はお隣の国韓国で、筆者と同じように子育て真っ最中の2人の日本人に、客観的に見た韓国の教育や、子どもの生活の様子などについてお話を聞いた。
心配していた「言語の壁」は実際のところ……
今回お話を聞いたのは、長男(24歳)、次男(20歳)、長女(17歳)の3人の父親Aさん(50代)と、長女(15歳)と次女(9歳)の2人の母親Bさん(40代)だ。AさんもBさんも配偶者は韓国人で、国際結婚家庭だ。Aさんは10年前、妻の故郷である韓国に家族で移住した。当時すでに就学していた子どももいただけに、移住を決めるにあたり、心配していたこともあったのではないだろうか。
「韓国語も勉強できますし、国際感覚が身につくことを期待していましたが、言葉が分からないせいでいじめられないだろうか……という心配はありました」
現地の言語を習得するという課題に一度は悩んだことのある海外子育て経験者は多いだろう。Aさんも例外ではなかったようだが、
「実際のところ、言葉の問題は心配していたほどではありませんでした。子どもたちはほぼ1年でネイティブレベルになりましたから。僕はなかなか上達しなくて苦労しましたけど」
とAさん。読み書きだけでなく、発音も含めてネイティブレベルなのだから、やはり子どもの外国語習得は速いようだ。
Bさんは結婚を機に韓国に移住した。子どもは生まれたときから韓国で暮らしているので、日本の文化に触れさせることにも気を遣ってきたと話す。
「日本人としてのアイデンティティーも持ち合わせていてほしいので、家庭で日本の季節行事を行っていますし、在韓日本人の仲間たちと一緒に、子どもたちに日本語の本を読み聞かせる会も定期的に開催しています。冬休みには、日本の小学校に体験入学に行かせているので、どちらの国にも友だちがいますし、異なる文化を尊重することを学ぶ良い機会になっています」
国際結婚家庭であれば、子どもは自然とバイリンガルになると誤解されがちだが、決してそうではない。どちらの言語も時間を確保し、継続して学ぶ努力をしているからできるようになる、ということを補足しておこう。
その上で、2カ国語が話せるということは子どもたちにポジティブに作用しているようだ。
「長男は日本語と韓国語を使ってYouTubeに動画を投稿していますよ」(Aさん)
「韓国は外国語教育に熱心な家庭が多いので、何か1つ外国語ができるということは評価されます。日本のアニメやキャラクターに興味がある子も多く、日本語ができることでうらやましがられたりもします」(Bさん)
続いて、韓国の「学校生活」のリアルを聞いてみた。
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