しかし、大がかりな対策だけが節電ワザではありません。リモコンを使って少し設定を変えるだけでも、電気代を抑えることが可能なのです。 今回は、リモコンの設定を変えるだけですぐにできる、エアコン暖房の節電ワザを紹介します。
運転モードは「自動」にする
エアコンを立ち上げた際、「強」モードにすると電気代が高くなりそうだから、「弱」モードで控えめに運転しよう、と思う人もいるかもしれません。ところが「弱」モードではかえって電気代がかかってしまう可能性があるのです。エアコンは運転開始直後から設定温度に達するまでにもっともパワーを使い、設定温度に達するとパワーを抑えてその温度を維持します。もし最初から「弱」モードにしてしまうと、なかなか設定温度に到達しないため、いつまでも電気代が高い状態から脱することができません。これは、自転車の漕ぎ始めは力がいりますが、安定するとスーッと軽い力で漕げるようになるのと同じです。
つまり節電になるのは、立ち上がり時は「強」モード、安定したら「弱」モードということ。そして、この切り替えを自動で行ってくれるのが「自動」モードです。人が切り替えるより最適なタイミングで、もっとも節電になるモードに自動で切り替えてくれるので、節電したい場合には基本的に「自動」モードにしておけばOKです。
風向きは「下」にする
空気はあたためられると膨張して軽くなり、高い場所に上っていきます。そのため、エアコンの風向きが平行や上向きになっていると、部屋の中をあたためる前に天井にたまってしまうのです。一方、足元には冷たい空気がたまりやすいため、「いつまでたっても寒い」と設定温度を上げてしまうことにもなりかねません。エアコンは設定温度を1度上げると電気代が10%上がるといわれていますから、節約どころか余計な料金が発生してしまいます。そのため、風向きは下に向けるようにしましょう。あたたかい空気が床に沿って部屋に広がり、天井にのぼっていくときに部屋全体をあたためてくれます。それでも温度ムラが解消されない場合は、サーキュレーターを併用し、天井にたまった暖気を撹拌(かくはん)したり、部屋の中で気流を循環させるといいですね。
フィルター自動掃除、加湿……最新機能を活用しましょう
また、最新のエアコンには使わないともったいない機能が備わっている場合もあります。便利な機能の中には、初期設定がオフになっている場合もありますので、確認しましょう。その1つが、フィルター自動掃除機能。もしついているのに稼働していなかったら、今すぐオンにしましょう。なぜなら、エアコンのフィルターにホコリがたまると、風量が落ちてエアコンの効きが悪くなり、余計な電気代を使ってしまうからです。パナソニックによると、1年間フィルターを掃除しなかった場合、定期的にフィルターのお手入れをした場合に比べて約25%の電気代がムダになるそうです。
もし、フィルター自動掃除機能がついていない場合は、2週間に1回程度、フィルターのホコリを取り除くといいでしょう。
また、給水なしで加湿できる機能を備えたエアコンを使っている場合も、オンにするのがおすすめです。人の体は、体表から水分を蒸発させて体表の温度を下げる性質がありますが、空気が乾燥していると、水分とともに熱が放出され、実際の温度より寒く感じてしまうことも。逆に湿度を上げると、体表から熱が逃げにくいので、体感温度が高く感じられます。機能が搭載されていない場合には、加湿器を併用してください。