ただ横型があるから縦型も……というバッグではない
「元々のコンセプトは2枚の壁のような横型でしか考えていなかったんです。でも、周囲に結構、縦型がいいと言う人がいたから」と秋田さんは笑います。実は、秋田さんをトライオンに紹介したのは筆者です。そして、筆者もまた縦型のカバンが好きで、トライオンで「NOTE BAG」という縦型のショルダートートをプロデュースしています。「トライオンさんがずっと作り続けているビジネスバッグのDOCUMENTシリーズというのがあって、あれが私はとても好きなんです。シンプルな1枚革で作られたスッキリしたブリーフケースで、あのシリーズのメインは横型なんですよね。それに、トライオンさんは、あのシリーズの次に向かう方向を模索されていました。そこに答えのひとつを提案したかったというのがあって、最初は横型を提案しました。だから、縦型は縦型をお求めの方へのサービスという部分もあります。また、本来、なるべく機能を削りたい私ですが、利便性を考えて把手とショルダーベルトの両方を付けたりしています。もっとも、ベルトは着脱できるようにしましたけれど」と秋田さん。 なるほど、ベースとしての「Nothing」があって、そのバリエーションとしては、単純に形を変えるという考えではなく、デザインコンセプトは統一しつつ、使い勝手や機能に変化を付けるという方向性なのでしょう。
内装が明るい色になっているのも、中が深い縦型だからこそ、内部を見やすくする必要があると考えたからだと言います。横型では、内装は暗い色で底板が明るい色になっているのですが、今回は逆になっているのです。
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