銀行員のアプローチには要注意
銀行員のアプローチには要注意
銀行というと、定期預金のように預けたお金に利子がつく、元本より減るリスクはない商品を取り扱うイメージがありませんか? しかし、約20年前から、銀行でも預けた金額より減るリスクがある投資信託や保険も買えるようになっています。以前、父の遺産を少し相続し数週間経った頃に銀行から電話がかかってきたときのことをお話ししましょう。
「このたびはご愁傷様でした。当行ではご相続人の方向けの相続資金特別プランがございます。」
来た来た、これが噂の銀行セールストークだと思いながら、少し前のめりになって話を聞いてみたら、申し込む金額の半分で投資信託を購入すれば、残りの金額は定期預金になんと年率3%(※)で預けられるとのこと。
そこで、その金利が適用される期間を聞いたら、たったの3カ月。しかも、プランの対象となる投資信託を銀行HPで調べたところ、購入時に販売手数料がかかるものばかりで、信託報酬という投資信託の運用コストも、高水準のものばかりでした。
相続や退職などで大きな資金が入金されるタイミングでは、こんなふうに銀行からアプローチされ、「あなただけの特別プラン」がすすめられることが多いですが、いい商品であることは少ないものです。即決はしないことをおすすめします。
※定期預金は3カ月経過後0.002%(当時)に下がるし、高コストの投資信託を買わないといけないし、個人的に検討に値しないと思い、断りました。
商品や対応をよく調べてから購入する
銀行ですすめられる金融商品には、投資信託のほかにも、外貨建て保険や変額保険といった保険商品、そして仕組み預金、外貨預金という預金商品があります。共通していえるのは、すべて高い水準の手数料がかかることと、商品性がわかりづらいものが多いことです。
もしつみたてNISAやiDeCoをすすめられた場合でも、取り扱い商品や手数料などを調べてから。即決は×ですよ。
商品の仕組みはそれぞれ異なるので、商品のデメリットや注意点、リスクを丁寧に話してくれるか、また、運用の目的や今後のライフプランを聞いて、なぜその商品をおすすめするのかきちんと説明してくれるかどうかをチェック。そうでない銀行では購入はもとより、資産形成の相談などしないほうが無難です。
銀行は、お金を預けるだけでなく運用商品も買えるため、ワンストップサービスを求める人には便利ですが、証券会社や保険ショップに比べると商品の選択肢が少なく、高コスト商品が多いことにご注意を。
鈴木さや子さんの著書『資産形成の超正解100』(朝日新聞出版)。お金やキャリアの不安を減らすために必要な資産形成の考え方やコツを100個紹介している。